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Date: Wed, 3 Mar 1999 21:21:58 -0700 From: Elizabeth Coolbaugh To: Linux Weekly News Subject: Panel Notes

パネルディスカッション前編 (RMS, Linus, Larry, Guido, ESR) @ LinuxWorld Expo

『RMS :自由は「征服」などしない。』

reported by Liz ( LWN team )
(Liz のライブメモ。Eric Raymond 氏にモデレートされた「土壇場」パネル)

※このディスカッションを読まれる前に、Linus のスピーチを読まれることをお勧めします。

元々は Eric Raymond 氏の講演という予定でした。元々の広告でパネルと言われていたかどうか良く覚えていないのですが、明らかにこれはパネルだった、というか結果としてパネルになってしまいました。Linus をゲストスピーカとして追加したので土壇場になって場所をメインホールに変更しなければいけませんでした。スタッフの方々は快諾してくれましたが、土壇場になっての変更に間違いなくストレスを感じているようでした。

昨日の Linus の講演と比べると、すべてにおいてかなり小さくまとめられたなという感じです。ホールは半分だけを使い、5台・6台という数のスクリーンは無く、メインスクリーンの3台だけです。ステージには装飾などほとんどなく、4つの椅子と事実上演壇として使われているものがあるだけです。

スケジュールの変更によって、私は TurboLinux の講演や Donald Becker 氏の Beowulf の講演をあきらめなければなりませんでした。今後予定されているこれら以外の講演に、このスケジュール変更による影響がなければ良いのですが、、、(後に、少なくとも Donald の講演を結果として短縮しなければならなかったことを知りました。多分、出展者は人々がパネルに流れてしまったのを嬉しく思ってなかったと思います。)この部屋は現在満杯です。間違いなく多くの人が予定を変更してパネルを見に来ました。

パネルが始まる前、私は Dennis と Evan Leibovitch(@ZDNet)と Jon(@LWN)と二人のプログラマ(Loki と Activision(両方共ゲームの会社))とで座ってお喋りをしていました。すると Linus が移動のために通り過ぎましたが、誰かに声をかけられたりして立ち止まったりしている様子はありませんでした。しかし、しばらくしてこのパネルに Linus が飛び入りすることがアナウンスされると、コンファレンスセンターより長い行列ができていました。

ともかく、パネルのメンバー、少なくともその何人かは、大体出揃いました。Eric はモデレータです。Linus はもう出て来ていて、Guido von Rossum と Larry Wall もいます。Richard Stallman は、Eric がイントロを始めたときにちょうど入って来ました。

(注:ここから最後までは講演をそのまま書き取ったかの様に書かれていますが、言葉通りでは「ありません」。私はそんなに速くタイプできません!パネリストが言ったことから少々偏向していることもきっとあるでしょう。欠落している部分もあるでしょう。どうしても言葉通りの情報が必要ならテープがあります。あと「聴衆」と書かれているのは聴衆の中でマイクを持っている誰かのことで、実際に話している人はほとんど毎回違う人です。)

Linus が飛び入りすることがアナウンスされると、コンファレンスセンターより長い行列ができていました。

Later, when this talk was announced, the lines for the talk ended up stretching the length of the conference center and more.
僕が見た中で最も非現実的だったのは、「Linuxコミュニティの構築」と書かれた看板のすぐ隣りにある、神様の大きさの9倍はある、IBM のロゴです。(Eric S. Raymond)
The most surreal thing I've seen is the IBM logo, nine times the size of God, right next to "Building the Linux community". (Eric S. Raymond)
Eric : 僕はフレンドリーなパネルセッションにしたかったんだけど、なんだか大集会になってしまったみたいです。ともあれパネリストをご紹介しましょう。Larry Wall = ミスター Perl、Richard Stallman = ミスターフリーソフトウェア、Guido van Rossum = ミスター Python (注:彼はラップトップに toy python を入れていました)、Linus = ミスター Linux、そして僕 = 特に何も成果なし。(訳注:謙遜です。)

このパネルは、「革命の継続」についてです。

僕達は、自分達が今どこにいるのか分かっています、そう、史上初の本物のトレードショーの真っただ中にいます。僕が見た中で最も非現実的だったのは、「Linuxコミュニティの構築」と書かれた看板のすぐ隣りにある、神様の大きさの9倍はある、IBM のロゴです。

僕達は、自分達が今どこにいたいのかも分かっています、オープンソースソフトウェアの世界、僕達の手に届くところにある世界で、人々が自分の必要とすることを実際にすることができるような世界、そしてそれをうまくやることのできる世界、そう、そのような世界です。今年の残りの 9ヶ月間で、僕達には一体何ができるでしょうか?各パネリストは 3分で話をまとめて下さい、そしてその後パネリスト同士でディスカッションをして、最後に聴衆の方から質問を受け付けて終りにしましょう。

Larry、きみから始めてもらえますか?

Larry Wall : 二点、基本的なことについて言わせて下さい。私はオープンソース運動は良いことをたくさんしてきたと思います。それはマスコミからは好評を得てきていると思います。しかし、失敗していると思うのは教育現場への浸透だと思います。それが本当の意味でフリー(自由)なものでないのならば、フリー(無料)なものなら何でもOK、というのは、おめでたい話です。(注:ええ、これは彼が言った通りの言葉です。どういう意味か考えてみて下さい。訳注:括弧の中は訳者の付け足しです。)

私はオープンソース運動をポストモダン運動の全盛であると捉えています。私達は、お互いの違いを認識する必要がありますが、もし私達がお互いに協力し合うことができるのであれば、その方がよりパワフルになると思います。私達はケンカをするのが好きで、マスコミはそういう私達を見るのが好きですが、私達にとっては、私達に共通していることについて考えてみることの方がずっと重要なことではないでしょうか。

(訳注:パネリストの方々は、オープンソースの中でも異なるポリシーを持った(異なる「部族」に属する)方々です。)

それが本当の意味でフリーなものでないのならば、フリーなものなら何でもOK、というのは、おめでたい話です。(Larry Wall)
They seem to be suckers for anything that is free, unless it actually free. (Larry Wall)
「征服」などということについて考えるのではなく、「自由」について考えて欲しい。「自由」は「征服」などしない。(Richard M. Stallman)
Don't think about domination, think about freedom, it doesn't dominate. (Richard M. Stallman)
Eric : パネリストの方々がお互いに他の部族の方々に望んでいることを教えていただけませんか。

Richard Stallman : かつて私がフリーソフトウェア運動を始めたときに望んでいたのは、コミュニティのメンバーとして協力するという「自由」を人々に与えることだった。商用 OS には協力するという自由が存在しないからだ。

そもそもトレードショーというものは、このような崇高な目標のために捧げられるべきものなのだ。なのに実際には、このトレードショーには、自分達の商用ソフトウェアがどれだけフリーなシステムと協調するのかという話をし出す人達がいる。間違いなくあなた方はそういう人達を目にすることだろう。

今日システムというものは、それが技術的にあまりに高度に発展し、あまりにも魅力的になり過ぎたため、人々はそれを自由ということとは全く関係の無い次元で使うようになってしまった。自由ということについて語ろうとさえしない。このことが我々のコミュニティを広く薄っぺらいものとしてしまったのだ。そんなコミュニティでは残存する仕事をやり遂げるという約束など不可能だ。

あなた方は誰でも GNU OS を入手することができるが、それは「大抵」のソフトウェアを動かすことができるが、「すべての」ソフトウェアというわけではない。私はそのようなフリーでないソフトウェアなどなくても生きていかれるのだが、そうすることができないと言う人もいるだろう。そして、すべてのディストリビューションはフリーでないソフトウェアを含んでしまっている。

私がここにいる他の連中に望むことは、今こそ「自由」について語り始めるべき時だということだ。なぜなら、もし自由な世界を手に入れたいと思うのならば、今こそ「自由」について語らなければならないからだ。「征服」などということについて考えるのではなく、「自由」について考えて欲しい。「自由」は「征服」などしない。

続く

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