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Date: Wed, 3 Mar 1999 21:21:58 -0700 From: Elizabeth Coolbaugh To: Linux Weekly News Subject: Panel Notes

パネルディスカッション後編 (RMS, Linus, Larry, Guido, ESR) @ LinuxWorld Expo 『Larry:何か素晴らしいものを産み出そうというのなら、セックスのようなことが起らなければなりません。』

reported by Liz ( LWN team )
(Liz のライブメモ。Eric Raymond にモデレートされた「土壇場」パネル)

※このディスカッションは、中編の続きです。 中編を先に読まれることをお勧めします。
(注:ここから最後までは講演をそのまま書き取ったかの様に書かれていますが、言葉通りでは「ありません」。私はそんなに速くタイプできません!パネリストが言ったことから少々偏向していることもきっとあるでしょう。欠落している部分もあるでしょう。どうしても言葉通りの情報が必要ならテープがあります。あと「聴衆」と書かれているのは聴衆の中でマイクを持っている誰かのことで、実際に話している人はほとんど毎回違う人です。)

聴衆 : 私は、無いものをどうやって手に入れるかということよりも、 既に持っているもので何をするかということの方が 重要だと思っています、、、

(注:この聴衆の方の意見が延々と続く。 Eric が、独り言は止めて結論を言ってもらえませんか、と言いました。 すると彼は、もうすぐ言いますから、と言いました。 そしてやっと終りにきてみると、 結局彼がパネルの方々に聞きたかったのは「そう思いませんか?」でした。 他の聴衆がぶーぶー不平を言いました。 話のスレッドを追うのが難しくてできませんでしたが、 結局パネルは、 企業と協力するのかどうかという論点に戻ってきました。)

Larry : 私はポストモダニストです。 みなさんに同意します。

Linus : 僕は、みんなが各々敵対して 主張していることすべてに反対するね。 IBM も金儲けをしている。僕も金儲けをしている。 あなたがプロプライエタリ(非フリー)かどうかを議論するなんて、 時間の無駄だ。 そんなのは個人的な問題じゃないか。

Richard : それは違うだろう。 プロプライエタリなソフトウェアは、政府の励行に基づいているのだ。

聴衆 : ソフトウェア特許のために、 私達はある領域から締め出されようとしているのです。 今後20年間、特定の領域から締め出されてしまうのです。 これについて、どうするべきでしょうか。 私はこのトレードショーを気に入っていますが、 フリーソフトウェアの力というのは、 メキシコの子供達の例のように、 人々を助ける力であり、 アメリカ政府株式会社が儲るのを助けるためではありません。 単に企業を助けるというよりも、むしろ、人々を助けるために、 このようなトレードショーにおいて私達には何ができるでしょうか。

Richard : 我々に必要なことは、特許法を変えることだ。 3年前、手術中の医師は特許権侵害による制約を受けない、 という法律が議会を通過した。 コンピュータソフトウェアを取り扱っている場合も、 特許権侵害にされないように法律を変えようじゃないか。 このような問題に対する意識を維持し続ければ、 何百万人もの人の同意を得ることができ、 法を変えるように議員を動かすこともできるだろう。

Eric : それを実現するために商業ベンダと協調するという提案ですか?

Richard : それも一つの手だ。もう一つ、、、 (注:すみません、遅れをとって、書き取れませんでした。 確か、前にも一度述べられたような、フリーソフトウェアの問題に注意を向け、 人々を変え、、というような内容でした。)

Linus : 僕も今の特許の状態については、本当に問題だと思う。 法を変えるために、何かがなされるべきだと思う。 特許を与えないようにするか行使不可能にするかして、 ソフトウェア特許自体があまり意味をなさなくなるようにするとか。 これからの9ヶ月間で、それをどうやるのかは分からないけど。 みんなで手紙を書き始めて、(政府が)十分な数の手紙を受け取ったら、 風変わりな人だけが訴えているのではないと理解するかも知れない。 これには、冷静な主唱者が必要だね。

Eric : Bruce (聴衆の中にいた Bruce Perence 氏に向かって)、君が主唱者になるかい?

Bruce : 俺は冷静な人なんかじゃないけど、 立ち上がってそのことについて語りあうのは結構なことだ。 でも、事務的なことは他の人がやってくれよな。

Eric : 個人的に、僕は社会的福利についてあまり話しません。 なぜなら、社会の福利について語ってる人の話を聞くと、 リボルバー(輪胴式連発ピストル)をつかみたくなってしまうからです。 僕は、社会福利の話を聞くと、どうせその次には「金を出せ」と言われるんだ と思ってしまうのです。 僕は最も良い方法は間接的にやることだと思う。 企業と話し合い、フリーソフトウェアで人々を強くし、考え方を広めること。 こうするのが一番社会的福利になると思う。

Richard : Bruceは、ビジネスと社会福利が矛盾すると言ったわけではない。 企業と協力できることは確かに良い機会ではあるが、 彼らと協力して何をしたいのかということについては、 注意深くならなくてはいけない。 ビジネスが究極の目的ではないのだ。 我々は、 何が本当に役立つことであり何がそれほど役立たないことなのかを 認識する必要がある。 本当に貢献している IBM と、 その他のただ自らのプロプライエタリ(非自由)な売り物を売り込み、 何にも貢献していない者の違いを見よ。

我々に必要なことは、特許法を変えることだ。
What we need is a change in patent law. (Richard M. Stallman)
企業からの支援を得るために我々の活動を変えてしまう必要などない。
We don't have to change what we're doing to get them to help us. (Richard M. Stallman)
Eric : では、具体的にまいりましょう。私達に、何ができるでしょうか。

Linus : 倫理観とか道徳観なんて、もう壊れちゃってる。 だから、人々に考え方を理解させ、それについて考えさせたら、 その人達は急にそっちに改宗するんだ。 例えば、去年起ったことを考えてみよう。 メディアでフリーソフトウェアのことなんか全然取り上げられなかった。 なのにたったの1年後には、 オープンソースの概念は「まったく未知なもの」から、 ジャーナリストが「まあね、でもそんなの分かりきったことさ」というものへと 変わってしまったんだ。 これは本当にナイスなことなんだ。 ケンカにならなくて良いからね。 つまり何が言いたいのかって言うと、 より良い方法を見せてやれば、 人々はそのうち理解するってことさ。

Larry : ビジネスの世界でも、 私達の子孫である子供たちに何かを与えるという考え方は 理解されていると思います。 しかし、私がまず最初に教育を考慮したのは、 第三世界の諸国(発展途上国)のメタファー(例え)としてなのです。 潜在的に中国には10億の Perl プログラマがいることになります。 彼らは今や変数を彼らの表意文字で記述できるのです。 これは、私が中国を「征服」するためしていることです。:-) 子供たちに寄与することと第三世界諸国に寄与することが同じことだと、 ビジネスの世界の人達に示すことができるかどうかは分かりませんが、、、 ビジネス界なんて飛び越えて、 直接第三世界に寄与してしまいましょうか。

Richard : それは、もう既に行われている。 彼らを手伝ってやれ。古いコンピュータを第三世界に寄付するのだ。

Eric : とても現実的な提案ですね。 古いコンピュータは、リサイクルに出す代りに第三世界の方々にあげてしまう。 その過程で Linux を入れてしまえ、と。:-)

Richard : ( Linux をこっそり忍び込ませるなんていうことに対しては) 同意できない。 私は、あなた方が出会うであろう人の中で同意できないことが最も多い人なのだ。 それだけで終るのではなく、 我々の必要を満たし、我々の必要としている支援を得るためには、 メディアで取り上げられるように事を運ばなければなるまい。

聴衆 : 私は以前マーケティングに従事していたのですが、 Linux に私の命を救われたことがあります。 だから、ありがとうございました。 ところで、CompUSA 等の大きなショップに入っていっても、 Linux の存在感って、あまりありませんよね。 普通の人は、 インストールしてくれるようなオタクの友達がいなければ、 Linux を手に入れることはないですね。 このことについて話し合う必要もあるかもしれません。 Windows のディスクに入っている情報を利用して、 Linux をエンドユーザにとってより使いやすいものにしてしまうことは できませんか? (これはこの時点で既にありましたね。)

Eric : Linux をエンドユーザにとってもっとフレンドリーなものとするために、 私達は次の 9ヶ月の間に何ができるでしょうか?

Richard : 今日発表された GNOME 1.0 がある。 これに寄与して欲しい。 まだまだしなければいけないことがある。 コンピュータはハッカーだけのものであってはいけない。 すべての人のものであるべきだ。 あなたが提案しているのは、 Linux を(インストールの簡単さという観点で) Windows と同様のものにするために、 Linux で Windows 上のデータを読むようにするということかな?

Larry : 私の awk から Perl へのトランスレータに似ている。

聴衆 : 成功する唯一の方法は、より良いものにするということでしょう。

Eric : オーケー、では、どんなプランを立てましょうか。

Linus : そこまでする必要あるのかなあ?

聴衆 : 私の母親が Linux の方を好むようにするためには、 何をする必要があるでしょうか?

聴衆の反応 : だからあ、、、次の 9ヶ月の話に的を絞ろう!

Linus : 人々がコンピュータを恐れるというのは、 生活における基本的な事実だからね。 最近はそうでも無くなってきているけど、 でもやはり誰でもインストールするのは好きじゃないんだ。 自分で自分の脳を手術してるようなものだからね。 普通の人々のためには、インストールしてあげるか、 プレインストールマシンをベンダから買うかのどちらかじゃないかな。 実際、それは現実になりつつあるんだ。 (この時点では、プレインストールマシンはまだ稀でした。) オフィススィートが必要だね。それに、KDE か GNOME。 技術的なことは、心配しなくてもいいだろう。 しておく必要があることというのは、 マシンが、 買ってきたばかりですぐに使えるような状態になっているということだね。

Eric : プレインストールベンダを応援しよう。

Richard : ただし、 どのベンダーがフリーソフトウェアだけをインストールしているのかを チェックして、そのベンダーを応援しようじゃないか。

Larry : 私達が次の9ヶ月で何か素晴らしいものを産み出そうというのなら、 セックスのようなことが起らなければなりません。 私達はセックスのようなことをしたいのであり、つまり、 どちらの人にとっても満足できるものであり、 どちらの人にとっても楽しいものでなければなりません。 言いくるめられたり、無理やりに、などではいけないのです。 (プロプライエタリな方も、 オープンソースな方も、 フリーソフトな方も、 フリービールな方もみんな一緒になって) 異種交配をしようじゃありませんか。 でも、言いくるめられたり、無理やりにではいけません。

次の9ヶ月で何か素晴らしいものを産み出そうというのなら、 セックスのようなことが起らなければなりません。
If we want something nice to get born in nine months, then sex has to happen. (Larry Wall)
もし Richard Stallman 氏がいなかったら、 私達のうち誰一人として、 今日ここにこのようにいることはなかったでしょう。
if it weren't for Richard Stallman, none of us would be here today. (Eric S. Raymond)
Eric : 次が最後の質問です。

聴衆 : 私が見ている限り、 Richard の目標というのは良いソフトウェアが欲しいということのようですが、、、 (注:Richard が、それは違うと言いましたが、 その聴衆の方は、彼が言いたかったことを例を用いて補足しました。) あなたは、正しく機能していないソフトウェアについて言及されましたね。 良いソフトウェアは、フリーソフトウェアから生まれています。 Guido も Larry も、 フリーソフトウェアである良いソフトウェアを産み出しました。 Linus も、良いフリーソフトウェアを産み出しました。 しかし一部の人は、 自分の作った良いソフトウェアをフリーソフトウェアにすることに 問題があるのです。 良いソフトウェアが作られることが最終的な目的なら、 フリーソフトウェアにするつもりの無い人達とも協力して、 ソースはオープンにするという、 混種の解決法を探りましょうよ。 自分が作ったソフトをフリーにしない人達に、 考え方を寄与する(=ソフトをフリーにする)ことは 彼らの損にはならないことを納得させましょう。

Richard : 私は、不平を言うためにここにいるわけではない。 (Eric : Richard もいっぱい良いソフトウェアを作ってきたんだよ。) しかし我々はここまでできるという実績を示してきたのだから、 今さら自分達の目標を妥協したり、 企業と協力するのに躍起になったりする必要はないのだ。 彼らが提供してくれるというものは、我々は享受しようじゃないか。 しかし、 彼らの支援を得るために我々の活動を変えてしまう必要などないのだ。

目標に向かって最初の一歩を踏み出すのだ。 そして次の一歩、それから次、その次、と踏み出していけば、 実際に目標に辿り着くはずだ。 だが、一歩進むべきところを半歩にしてしまうと、 次のもう一方を踏み出そうということにはならず、 決して目標には到着しないだろう。

Eric : 今回の会場には、技術者以外の方も多くいらっしゃるので、 このことを改めて言わせて下さい。 もし Richard Stallman 氏がいなかったら、 私達のうち誰一人として、 今日ここにこのようにいることはなかったでしょう。 (注:会場総立ちの拍手喝采。) 僕は今日 Richard をからかってあれこれ言ってしまったので、 このことを言っておきたかったのです。

IBM が、32のプロセッサがあるスーパーコンピュータで オープンソースソフトウェアを走らせている、 ということをあなたに伝えておくよう言われました。 感銘を受けました。

Richard : オープンソースのブースは、後方にある。 フットボールの試合と、それに、、、

[The end]

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