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ChangeLog
カーネル近況ダイジェスト
[1999/9/9〜15]
Section Editor: Jonathan Corbet
ChangeLog
[ Kernel ]  

最新開発版カーネル 2.3.18: PCMCIA と DRM のカーネルへの統合

最新の開発版カーネルは 9月 11日 (JST) にリリースされた 2.3.18 です。

※ 最新リリースは、 カーネル情報のページ(日本語)でご確認下さい。
これは最近では比較的小さなパッチです。 非圧縮で 1 MB 強しかなく、修正されたファイルの数は 401 です。 しかし、これにはいくつか面白い修正が入っています。
  • 長い月日の後、ついに PCMCIA のサポートが主流カーネルに統合されました。

    現時点では基本的な構造は出来ていますが、 実際のドライバ自体はほとんどありません。

    個々のドライバには、新たに統合されたしくみの下で動作させるために、若干調整が必要になります。 David Hinds 氏 (PCMCIA マスター) は、整合性があり今後も継続出来るやり方を策定するまで、まだ個々のドライバを慌てて 追加しないように(アーカテクチャの変更の可能性があるので個々のドライバを新しいアーカテクチャに対応させることはまだしないように)要請しています。

  • DRM(Direct Rendering Manager)もカーネルに統合されました。

    DRM は XFree86 4.0 の一部になる予定の DRI(Direct Rendering Infrastructure) に必要とされるカーネルレベルでのサポートです。

    簡単に言うと、DRI は X サーバに三次元の描画の機能を追加できるようにするものです。 逆に X サーバは、ビデオハードウェアが持っている描画機能によるメリットを受けられます。 結果として、セキュリティ的に安全に低レベルのハードウェアアクセスを行えるようになり、かつ、非常に高速な 3D グラフィックスが得られます。

    ※ 現状の Linux の X サーバは ioperm() システムコールを使って直接ハードウェアにアクセスしています。このために X サーバは root 権限で動作する必要があり、セキュリティ上狙われやすい点になっています。
    DRM に関する詳細は DRM の設計資料 (英語) をご覧ください。 また、DRI 一般についてはこちらの資料(英語)で議論されています。

    [ Update ] (1999/10/04)
    後日読者の方から、上記記事に関する訂正がありました。

    まず Michael Callahan 氏のご指摘(英語。「Subject: direct rendering explanation in 9/16 LWN」の記事) によると、

    「…簡単に言うと、DRI は X サーバに三次元の描画の機能を追加できるようにするものです。逆に X サーバは、ビデオハードウェアが持っている描画機能によるメリットを受けられます。…」
    という部分はむしろ「逆」だということです。 (機能的には勿論 3次元処理が強化されるのですが、実際には、 「追加」するというよりむしろ「省略」する、つまり、 3D データが X サーバを経由しないようにするということのようです。) 今の X サーバでは 3D のレンダリングを行う場合、 3D データは X 経由でアプリケーションから 3D ビデオカードへと渡されるため、 「間接レンダリング(indirect rendering)」と呼ばれており、 DRM ではアプリケーションからビデオカードへと(文字通り)直接渡される、 (※ 3D では大量のデータの流れがあるので、このようにして、 X サーバを経由しないで済むので処理が高速化される。) とのことです。

    また、Rodolphe Ortalo 氏によるまた別のご指摘によると、 DRI によって、 セキュリティ的な問題が完全に解決されるわけではないので、 「セキュリティ」を強調するのは間違った印象を与えかねない、 とのことです。

    具体的には、

    「…結果として、低レベルのハードウェアアクセスをセキュリティ的に安全に行えるようになり、かつ、非常に高速な 3D グラフィックスを得られます。…」

    という部分で、DRI(Direct Rendering Infrastructure)は 、 X サーバと同程度にしか安全ではなく、DRM の目的とするところは、 「超高速」であると指摘してくださっています。

    氏からの投稿 (英語。「Subject: A comment on DRM (LWN, Sep. 16)」の投稿) に詳しい議論がありますのでご覧下さい。

[ Kernel ]  

2.3 のフィーチャーフリーズが有効に

しかしながら、以上のようなニュースの存在をも霞ませてしまうようなニュース --- フィーチャーフリーズ(日本語の速報と解説。「ついにフィーチャーフリーズ!Linus:「僕らの予定は決して遅れない。」」) --- がありました。 現在 2.3 のフィーチャーフリーズが実行されています。

Linus は、彼が二週間の休暇を取り、その間に届いたメールは捨ててしまう事でフィーチャーフリーズの開始を確実なものにするとアナウンス (英語) しています。 このため、システムに新機能を受け入れるように どんなに説得力のあるメールを書いて彼に送っても、何にもなりません。

計画では、二ヵ月間のフィーチャーフリーズの後、 確実なコードフリーズに入り、リリースはまだ年末に予定されています。 おそらく私達は、今回は本当に、クリスマスに 靴下に詰め込まれたカーネルを手にすることができるかもしれません。

※ 前回の 2.2 リリースは、当初、クリスマスの頃に、と予定されていましたが、 実際にリリースされたのは、それから1カ月後でした。
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Alan Cox 氏が ac シリーズを再開

休み明けに、整合性のあるパッチの組を Linus に渡せるように、 Alan Cox 氏は彼の "ac" カーネルパッチシリーズを再開しました。

「ac」シリーズはフィーチャーフリーズの制限範囲内のパッチのみを含む事を目的としています。このためあまりエキサイティングな新機能はないでしょう。

執筆時点で最新のパッチは 2.3.18ac5 (英語) です。

※ Tue Sep 21 23:51:24 JST 1999 現在、 2.3.18ac7(英語)が最新です。

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安定版カーネル 2.2.12: 岩のように安定した 2.2.13 を目指して

最新の安定版カーネルは、まだ 2.2.12 のままです。
※ 最新リリースは、 カーネル情報のページ(日本語)でご確認下さい。

Alan Cox 氏はこちらでも精力的です。 既に 2.2.13-pre パッチは version 8(英語) になっています。 Alan は「岩のように安定した」2.2.13 を作りたいとコメントしています。 ユーザコミュニティには、もちろん、より歓迎されるでしょう。

これが完成したら、 次の 2.2.14 は knfsd パッチを取り込むことができるようになります。 (この議論は先週 (英語。日本語) 取り上げました)。

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マルチメディア・プラットフォームとしての期待が高まる Linux

マルチメディアアプリケーションには短いレイテンシが必要とされています。

今週、Paul Winkler 氏が Benno Senoner 氏の「短いレイテンシに関するミニ HOWTO」(low-latency mini-howto)(英語) が web に公開されている事を指摘して下さいました。

※「ミニ HOWTO」の場所がこちら(英語)に移動になったようです。(11/28 更新) [Thanks to 池田さん]

ここでのレイテンシとは、アプリケーションが何かを行うため CPU の獲得を待たなければならない時間を指しています。 マルチユーザのオペレーティングシステムは比較的レイテンシが長くなる傾向があり、 そのため、 1 ミリ秒 (またはそれ以下) の時間内でイベントに応答しなければならないようなアプリケーションを走らせるのは困難になります。

Benno は最近、彼の最新のテストにおけるいくつかの結果 (英語) を投稿しました。主に Ingo Molnar 氏との協力によって行われたものです。

彼の結果:いまや Linux において 1 ミリ秒未満の応答時間を得ることは可能で、 最も長いレイテンシ (500 ミリ秒) でさえも、 何が起きているかを突き止めることができれば修正できるはず、 ということのようです。

結論的に Linux は、 リアルタイム系のハックや他のトリックを使わなくても、 安定したマルチメディア向けのプラットホームへの途上にある、 と十分考えることができます。

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その他のパッチとアップデート

今週のその他のパッチとアップデートは以下の通りです。
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関連 URL

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他のカーネル関連リソース(英語)
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他のカーネル関連リソース(英語)


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