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Red Hat IPO
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Red Hat、100億円の資金調達を計画!!

  1. Red Hat 社、株式公開申請資料公開 [1999/6/10]
  2. Red Hat 株式公開申請資料概要 [1999/6/10]
  3. Red Hat IPO に関してプレスはどう報道したか [1999/6/10]
  4. Red Hat が IPO 関連の情報をさらに公開/ Red Hat IPO 追加情報/Red Hat、Linux ニュースサービスを計画 [1999/07/22]
  5. Linux ハッカーのための Red Hat 株 [1999/07/29]
  6. Red Hat 株のコミュニティへの提供に問題。 [1999/07/29]
  7. ESR と RMS --- Red Hat の株式公開をめぐって [1999/08/09]
  8. Red Hat の IPO、いよいよ開始 [1999/08/12]
  9. Red Hat の IPO、土壇場で再びトラブル [1999/08/19]
  10. Red Hat 株は Microsoft 株になれるのか? [1999/08/19]
  11. 現在の Linux 株平均指数は 92.0 です。 [1999/08/26]
  12. LASER5、Red Hat 日本法人と決裂 --- LASER5、日本語redhat Linux 6.0の開発を中止し、オリジナルブランドディストリビューションとして LASER5 Linux 6.0を発売 [1999/08/26]
  13. レッドハットからピンクパンツへ。--- Red Hat 商標に関する Amazon でのトラブル [1999/09/03]
  14. LASER5 vs Red Hat [1999/09/03]
  15. Red Hat が沈黙を破り、、、、(Donnie Barnes 氏インタビュー) [1999/09/19]
  16. Red Hat の Donnie Barnes 氏インタビュー [1999/09/19]

--jc
Red Hat IPO

Red Hat 株式公開申請資料概要

Jonathan Corbet (LWN)
Elizabeth O. Coolbaugh (LWN)

1999年6月4日、Red Hat 社が最初の株式公開のための申請資料を公開しました。

興味のある方は、進行中のオフィシャルプレスリリース(英語)をご覧下さい。

ただし、非常に短いもので、本質的な情報は含まれていません。このプレスリリースから得られる情報は、ほとんど、Red Hat が株式公開のために申請資料を実際に公開したということだけです。

この事件の意味するところは、もちろん、すべてがうまく行けば、Red Hat の社長らがリッチになるということです。また、会社自体も将来的な成長を促進する大規模な資金を得たということです。

一見したところ、確かに不満の対象になるようなことは何もありません。

Red Hat を創設された方々は、本当に価値のある会社を創り上げましたし、概して Linux 自体にも多く貢献してきました。ここまで来るには、間違いなく大変な仕事、大きな献身をされてきたわけです。

彼らは当然報酬を得るべきです。

けれども、今回新しく得た大金で Red Hat が何をするのか、は非常に興味深い点です。もし Red Hat が見込み通り、1億ドル(≒120億円)近くを得たとすると、彼らの軍資金は、他の Linux ディストリビュータのどれをも遥かに凌ぐことになります。

その時に、(Red Hat は、Microsoft と違ってオープンソースのコミュニティと共に育ってきた企業だから)トップの Linux ディストリビューションとしての「自分達の立場(利益)を守ることだけに専念したりはしないだろう(ユーザやコミュニティへの配慮を忘れたりもしないだろうし、アンフェアなこともしないだろう)」と(LWN が)考えるのは、世間知らずなのかも知れません。

何故なら、Red Hat は結局ビジネスなのですから、彼らがビジネスとしての行動を取ると期待されても当然なのです。

今回のような大金は、その使い道によっては Linux ビジネスの様相を劇的に変化させることになります。

(Red Hat が(LWN の期待通り)ビジネスの「期待」を裏切ってくれるのかどうか)今後の動きが非常に興味深いところです。注目しましょう。

詳細な情報を入手されたい方は、EDGAR の Red Hat のファイルを直接ご覧になって下さい。(thanks to Mike Renfro)

このファイルは、350キロバイト分の法律用語の列ですから、少し読むのは大変かも知れません。時間の限られている方は、以下に概要をご用意致しましたので、ご覧下さい。

そこには、会社の現在の所有者、Red Hat を破滅させる可能性のある「リスク要素」のリスト等を含む、いくつか興味深い点が書かれています。さらに言えば、彼らの将来計画の中には、ソフトウェアのパッケージ販売に関するものはほとんどないようです。

Red Hat IPO

Red Hat 株式公開申請資料概要

1999年6月4日、Red Hat 社が 株式公開 (IPO) の申請資料 を公開しました。 以下は、申請資料のすべてをコツコツ読み進めていく時間がない方のための ハイライトです。

以下は、申請資料の緻密な分析というわけでは「ありません」。 単に興味深い点を羅列したリストに過ぎません。

まず第一に、まだ殆んどの数値は欠落しています。 これはどうやら一般的な慣習のようです。これらの数値は、実際の株式公開の期日に近くなると、修正版の申請資料において記入されるということです。

ですから、とりわけ、今の時点では同社の何%が売りに出される予定なのかについての情報はありません。 ハイテク株の最近の傾向としては、売りに出される割合は低く抑えられています。つまり、既存の所有者が大部分を所有し続け、株の供給量を制限することにより 価格の上昇を狙う傾向にあります。

Red Hat のウェブサイトへのトラフィック

1999年3月のRed Hat のウェブサイトへのトラフィックは、

    25,000,000 (2500 万) ページビュー 265,000 (26.5万) ユニークビジター
とのことです。

Red Hat の戦略(申請資料より):

  • 「オープンソースコミュニティのための、 オンラインでの最終的な目的地を創造する」 ために、Red Hatのウェブサイトを拡張し続ける。

  • 有料サポートサービスを大企業とのビジネスに標的を定め拡張する。

  • オープンソースソフトウェアが市場でより受け入れられるようにする。

  • オープンソース技術の開発に投資し続ける。

  • 広告、PR キャンペーンを通して Red Hat ブランドの価値を高める。

申請資料のどこにも、
「Red Hat ディストリビューションの販売により利益を得る」
ことに関する項目はありません。Red Hat は、確実に別の未来図を描いているようです。

財務表

財務表によると、 Red Hat は、これまでに 概ね $372,000(4464万円) を損失したようです。

※ここではすべて、1ドル120円で計算しています。
1995年度には、
    $482,000(5784万円)の収益に対し、
    $128,000(1536万円)の損失がありました。
1999年度には、
    $11,000,000 (13.2億円)近くの収益に対し損失は
    $130,000 (1560万円)でした。

(※ Red Hat の会計年度は3月〜2月。)

現在、ほぼ44,000,000 株(4400万株)の株券が発行されています。

リスク要素

潜在的投資家を心配させるリスク要素。 このリストは恐ろしいものに見えるかも知れませんが、 そういうことを列挙しなければならないリストとなっているからです。 Red Hat は、考えられうる失敗の可能性のすべてを、このリストに入れてあることになっています。 以下は、Red Hat が挙げているうち、いくつかのリスク要素です。

  • Linux 市場は、開発途上にある。オープンソースビジネスモデルは、未だ立証されてはいない。

  • Red Hat は、Linus Torvalds 氏と他の著名な Linux 開発者に依存している。

    また、Red Hat はカーネルハッカーらが競合相手に荷担する可能性についても言及しています。

  • Red Hat は、多数の独立した開発者にかなり依存しており、このことは統合やテストを困難にしている。

  • Linux のアプリケーションは、まだ欠乏している。

  • 高速なインターネット接続が広く普及すると、 ユーザがディストリビューションをインターネット経由でダウンロードし、購入しなくなる可能性がある。

  • オープンソースコミュニティは、Red Hat のビジネス戦略を気に入らないかもしれない。

  • Red Hat は、「近い将来かなりの損失」を負う可能性を予期している。

  • 急な成長により、Red Hat は資源的に緊迫状態にある。

  • 上級管理職チームには、新しい顔ぶれが多く、 Red Hat は何人かの人に大きく依存している。

    (Robert(Bob) Young 氏、Matthew Szulik 氏、Tim Buckley 氏、 Marc Ewing 氏がリストされています。)

  • Microsoft を含め多くの既に地位の確立した OS ベンダと競合関係にある。

  • 他の Linux ディストリビュータとの競争が激しい。さらに、 このビジネス界の外部から新しく参入する障壁は少ない。

  • 国際的なビジネス拡大計画は、リスキーである可能性がある。

  • 計画している、サービスビジネスの拡大がうまくいかないかもしれない。

  • 技術のある社員獲得は、競争が激しい。

  • Red Hat のウェブサイトに、ユーザーを惹き付けられないかもしれない。予定通りに広告収入が上がらないかもしれない。

  • GPL(GNU General Public License) が執行不可能になる可能性がある。

    このリスクは、GPL が裁判所で考査されたことがないことに起因するようです。

  • 他の人の知的所有権の侵害により訴えられる可能性がある。

    Red Hat のコードが Red Hat 以外の開発者によって開発されているという事実は、この可能性を回避するための助けとはならないそうです。

  • 2000年問題に捕らわれる可能性がある。

  • 株式公開により得た資金の使用方法に関して、 Red Hat は「幅広い判断の自由」を持っている。

    近々開かれるトレードショーで Red Hat のヨット艦隊を捜してみましょう ;-)

明らかに、うまくいかない可能性は多くあります。
それがビジネスというものでしょう。

配当

Red Hat は、今までに支払ったことがなく、近い将来に支払う計画もありません。

収入源

Red Hat はサービスビジネスを増やすことを希望していますが、現在は、その 割合はささいなものです。

1999年度に Red Hat は、ソフトウェアの販売から$10,000,000 (12億円)の 収益を上げ、サービスからは$777,000 (9324万円) の収益を上げています。

経費

Red Hat は 1999年度に、セールスとマーケティングに $3,000,000 (3.6億円) を費やしました。

調査・開発は、それより少なく、$2,200,000 (2.64億円)でした。

スタッフ

1998年3月1日の雇用人数は 36人だったのに対し、 現在は 127人です。

12-18ヶ月のうちに、新しいオフィスに移転する必要があると予測しています。

雇用者の内訳:
ソフトウェアエンジニア :52人
セールス&マーケティング :30人
顧客サービス :28人
会計&管理経営 :17人

2000年問題

Red Hat は、自社ディストリビューションの様々なバージョンにおいて テストをしています。また、5.2 と 6.0 をテストするために独立系の企業に依頼しています。 このテストは未だ進行中で、 今月(1999年6月)末までには完了する予定です。

Red Hat は、6.0 リリースに2000年問題が発覚した場合の 緊急方策を用意していませんが、あまり心配していないようです。

(ビジネスを遂行するために Red Hat 自身が使用しているシステムを見ると) 2000年問題に関する Red Hat の内部調査は遅れています。申請資料作成時には、まだ進行中です。 そのため、何か深刻なことが起っても、あまり時間が割けないようです。

繰り返しますが、Red Hat はあまり心配していないようです。Red Hatの自社内の業務に Linuxを使用しています。

ウェブサイト

現在 「20人のプロフェッショナル」が取り掛かっています。

Red Hat のウェブサイトに関する計画は、以下のようなものを含んでいます。

  • パーソナライズ("my.redhat.com" - 本当らしいです)
  • 広告
  • スポンサー
  • コンテンツ出版(「市場報告」やサポートが有料で利用可能)
  • 電子商取引
  • コンテンツを他のコンテンツプロバイダにライセンス

ディストリビュータ

Red Hat Linux の 最大のディストリビュータは現在、 Ingram Micro 社と Frank Kasper and Associates 社の 2社です。

Linux に特化した様々なディストリビュータは、 彼らの予定図には織り込まれていないようです。

Red Hat はまた、 Dell 社、ASL Workstations社、CPU Micromart 社と OEM 契約を結んでいます。

競合相手

OS 一般に関して、 Microsoft、Novell、IBM、Sun 等が挙げられています。 常連です。

Linux に限っては、 Sun、Corel、Cygnus が競合相手として挙げられています。

現在この申請資料には、(Caldera、SuSE、TurboLinux 等の) Linux ディストリビューションビジネスに 従事している他社は言及されていません。 明らかに Red Hat は現在、他のディストリビュータについて 本当の競争相手と見なしていないようです。

Red Hat 株の所有者

最も大きな株数を保持している所有者は、以下の通りです。 示されている割合は、株式公開以前のものです。公開後は減少することでしょうが、 数値はまだ明らかではありません。

所有者割合(%)
Greylock IX Limited Partnership 14.5
Benchmark Capital Partners 9.7
Intel Corporation 5.0
Robert Young 15.1
Marc Ewing 15.1
Frank Batten, Jr. 25.0

注目に値するのは、 過去何ヵ月間かに Red Hat に投資した IBM、Dell、Compaq、Netscape、Novell、Oracle、SAPのような企業がリストに載っていないことです。 このうちの 1つとして、このリストに記載されるほどの投資はしていなかったことになります。

より詳しい情報はもちろん、申請資料(英語)にあります。

Red Hat IPO

Red Hat IPO に関してプレスはどう報道したか

Red Hat IPO に関してプレスがどう報道したのか、まとめてみました。
  • Salon Magazine(英語)は、Red Hat の(米)証券取引委員会への申請について、証券取引委員会のオフィシャルな申請書に「GPL」という文字が見られる点に注目し、これが「ソフトウェアビジネス界のルールが、まさに再構築されているという驚くべき証明」になっている、としています。

  • Business Week(英語)Business Week は、Red Hat の行方は厳しくなりそうだ、としています。Red Hat が将来的に得られる利益は、「ちっぽけなものであるのは明らかだ。」としています。その理由は、(GPL が再配布を許しているため)「ウェブサーバを所有している人なら誰でも、再配布可能」だからであり、またポータル化戦略に関しては、Yahoo 等の足下にも及ばない(0.8%)ことは勿論のこと、「linux.com、slashdot、freshmeat、と競合が多い」からだ、とのことです。

  • News.com(英語)の関連記事では、Red Hat に投資している中に、Microsoft と密接に関連している企業があることが言及されています。Red Hat に投資している Intel が Microsoft にも投資していること、また、上記の申請資料に Red Hat 自身が競合相手として挙げているNovell と IBM も Red Hat に投資していること等を挙げ、企業による投資には(投資により直接的な利益を得ようとするベンチャーキャピタルによる投資とは違い)特別な意味があるとしています。投資をする企業は、「取り決め上戦略的な利益があるような企業に出資」する傾向があるとしています。そして、時としてそれは、「競合相手に出資する場合を意味する」とのことです。

  • USA Today(英語)Red Hat の株式公開計画について報道しています。その中で、上記の「Red Hat 株式公開申請資料概要」(LWN)(日本語)と同様の点に着目し「Red Hat に投資したことが広く公表されているIBM、Netscape、Oracle、SAP のような技術系企業の中で、Red Hat の所有者として意味がある、と考えられるのは、5%の資金提供をしている Intel だけである」とコメントしています。

  • ロイター通信(英語)は、Red Hat の株式公開関連の報道に関して「Red Hat 社(ソフトウェア企業)は金曜、公開後最初の普通株の取引で$966,000,000 を調達することを発表した。」と伝えています。

  • News.com (英語)の、Red Hat の株式公開アナウンスに関する記事によると、Red Hat は、(株式公開により得られる)資金の使い道を「運転資金と共に、「地理的な拡張」や「自社のものを補完するようなビジネス、製品、技術」の獲得」と計画している、とのことです。また、Red Hat はそれらに関し、「適切な契約や委託等はまだ無い。」とコメントしたということです。
  • news-observer.com(英語)
    投資家(圧倒的な市場シェアとビジネスモデル)を説得したり、技術者(「一部の企業」(特に太平洋側の北西を拠点とする)のようにはならない)を説得したり、大変だった。

  • usnews.com(英語)
    Microsoft に正面から向かっていくなんて、巨大な風車に向かっていくドンキホーテ扱いだったが、でも彼らはそれをやってのけた!

  • VAR Business(英語)
    VAR(Value Added Reseller)としては影響なし。Red Hat はソフトウェアの改良にお金を使って欲しい。

  • amcity.com(英語)
    Linux は MS にかなわない、RedHat 株は買いじゃない。

また、他の Linux 関連企業の株式公開計画についても報道がなされています。

まず、

  • Inter@ctive Week(英語)の記事によると、TurboLinux (前パシフィック・ハイテック)も、同社の「オプションを公開するつもりだと言及している。」ということです。TurboLinux の主張によれば「日本では既に最も有力であり、現在では北京での業務も開始されており、業務開始後最初の2ヶ月で Linux を 110,000 コピー配布」しており、株式公開は「将来的な選択肢」に入っているとのことです。

また、

  • News.com(日本語)の記事によると、Caldera Systems も株式公開を視野に入れているようです。Caldera Systems の販売担当副社長 Benoy Tanang 氏がインタビューに答える形で「われわれはあらゆる事業活動と事業モデルを確実に準備しつつあり、これで(株式を公開するか、または買収されるかという)選択ができる」とコメントしているとのことです。また、VA Linux Systems の Larry Augustin 氏も、VA の株式公開を考えているとのことです。LinuxCare の Art Tyde 氏は、可能性を肯定するだけに留まっているようです。

  • ZD Net(日本語)は、Linux 関連企業の株式公開の将来を推測し、次のように結論付けています。

    理由はどうであれ、1点だけははっきりしている。Linux がビッグ・ビジネス(大企業)に受け入れられつつあるだけはでない。Linux そのものが、ビッグ・ビジネス(大事業)になりつつあるということだ。

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「ビジネス」セクションで取り上げられた関連トピックです。
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