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Dirk Hohndel & Jeremy Allison Interview
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Dirk Hohndel & Jeremy Allison インタビュー

99年12月17〜18日、 横浜で JLA 主催 Linux Conference '99 (LC99)が開催されました。 ChangeLog では、LC99 の特別講演のため来日されていた Dirk Hohndel 氏と Jeremy Allison 氏にインタビューさせていただくことができました。

Dirk と Jeremy のコンファレンスでの講演は、 後日 LC99 Real Team によって Real Video のアーカイブ(日本語) が公開される予定です。 (このための作業はすべて Linux のシステムで実現されたということです。)

Dirk Hohndel & Jeremy Allison Interview

Dirk Hohndel 氏インタビュー

Dirk は、ドイツの Linux ディストリビュータである スーサ(SuSE)社(英語)の 戦略開発の副社長であり、 また、 The XFree86 Project 社(英語) (XFree86 は、Linux をはじめとする各種 Unix 用の X ウィンドウシステム (各種システム上でのデファクトスタンダードなウィンドウシステム。 ほぼすべての Linux ディストリビューションで採用されています。) をオープンソースで提供しているプロジェクト(非営利法人)です。) の副社長でもあります。

スーサ社はヨーロッパ最大の Linux ディストリビュータ (売り上げベースの数字(昨年実績)では Red Hat とほぼ互角)で、 その商用ディストリビューションを 1992 年より提供しています。 現在全世界で 220人の社員を雇用し、米国でもビジネスを展開しているとのことです。 また、OS とともに、テクニカルサポート・コンサルティング業務も行っています。 今後は、日本を含め、アジア市場での展開を予定しているとのことです。

インタビューを快く引き受けてくださった Dirk に感謝します。 お忙しいところ急にお願いしたにも関わらず、 スケジュールを調整して時間を確保してくださいました。 インタビューには、とても穏やかな口調で大変丁寧に答えてくださいました。 また、インタビューの実現に関して Chris Simmons 氏(SuSE)と、 コンファレンスの主催である JLA に感謝いたします。

講演は、XFree86 についてのものでしたので、 このインタビューでは、主に SuSE のことなどについてお伺いしました。


Dirk

CL:

(lwn.net の SuSE の広告によりますと :-) SuSE のディストリビューションは国際化されているということですが、 SuSE の日本語版や SuSE 日本支社の予定などは計画されていないのでしょうか?

Dirk:

ええ、SuSE Linux は国際化されており、 ドイツ語版、英語版、フランス語版、 イタリア語版、スペイン語版、それにブラジル-ポルトガル語版がありますね。 ご質問の日本のマーケットに関しましても、 SuSE は日本のことを最重要マーケットの一つとみなしていますよ。 現在、日本でビジネスパートナーを探していますし、 また、日本での会社の設立も計画しているんです。

(※ Dirk はスケジュールの都合からコンファレンスの最初の日に 日本を発ちましたが、ChangeLog は Chris(SuSE USA のマーケティングディレクター)を翌日も目撃しました!)

CL:

ところで、「SuSE」というのは正しくはどう発音したらよろしいのでしょうか?

Chris (SuSE USA のマーケティングディレクター):

「スーゼ」と「スーザ」の中間の発音をします。 日本市場向けのカタカナ表記では、「スーサ」(濁らない)を使用する予定です。

Dirk:

実は「SuSE」というのは、 ドイツ語で「ソフトウェアとシステム開発」の略なんです。 最初、SuSE はドイツの地方の一会社で、 当時は同社がこんなに国際的になるとは思っていなかったんです。 そしてそのような名前を付けてしまい、 今でもそのまま使用しているというわけです。

CL:

日本の読者はまだほとんど SuSE のことを知らないと思いますが、 SuSE のディストリビューションというのは、 一体どのようなものなんでしょか? 簡単に教えていただけませんでしょうか? 他のディストリビューションと比べて、 特にどういった点が優れているのでしょうか。

Dirk:

SuSE Linux は、既存の Linux OS の中でも最も包括的なものとなっています。 6 枚の CD(または DVD 1枚)に、1500 以上のパッケージが入っています。 とりわけ、クライアント/サーバのどちらとしても使える、 フルベースの OS、インターネット用のすべてのツール、 オフィススィート、そして たくさんのデモ(あるいはやや制限された)バージョンの商用アプリケーション といった、使える環境に必要な要素のすべてが含まれています。

CL:

そして、SuSE は日本の Linux ディストリビューション市場で どのようにして成功を収めようと計画なさっているんでしょうか? 既に日本にも、 Intel ベースのシステム用のディストリビューションに関してでさえ、 非常にたくさんのディストリビューションがあります。 Dirk 企業ユーザには Red Hat や Turbo がもてはやされていますし、 一般ユーザには Vine や Laser5 が好評を博しています。 Slackware ベースで保守派に根強い人気の Plamo があれば、 Raw Hide ベースで革新派にウケの良い Kondara もあります。 さらに Storm、Corel、Caldera も既に日本語化を発表しており、 Mandrake の非公式な日本語版も存在します。 また、コミュニティベースのディストリビューションや ホビーのディストリビューションもありますし、 Windows 上でインストールされるものもありますし、 もちろん、Debian も日本語をサポートしています。 そしてもしかすると驚かれるかもしれませんが、 特に日本では、FreeBSD ユーザもたくさんいらっしゃいます。

Dirk:

ええ、既存のディストリビューションについては良く承知しておりますよ。 実際、PC98 用の 日本語版 FreeBSD/Linux を支えている知り合いもいくらかいるんです。

しかし、 正にその Linux 市場における競争こそが、 この市場をこんなにも面白いものにしてくれているんです。 この競争こそが、この Linux 市場と、 IT 産業のもっと独占的な他の市場とを違ったものとしている 主要な要素になっているんです。 そして、SuSE は現在弊社が積極的に進出しているマーケットすべてにおいて、 そのような日本市場での競争にとてもよく似た競争を目の当たりにしています。 ですから、成功できる同じ理由を日本でも応用することができると信じているんです。

つまり、私たちが日本市場でどのように成功しようと計画しているかといえば、 顧客のニーズを理解し、そして、それらのニーズのための 高品質な技術的ソリューションを提供する、ということにつきます。

CL:

SuSE の IPO (株式公開)については考えられていますか? (ドイツですでに行われていなければ)開発者の間で噂になっていたりしませんか?

Dirk:

SuSE はまだ株式を公開していません。 ですからまだ現在は未公開ということになりますが、 つい最近 Apax 社と Intel 社から投資を受けました。 これ以上のことに関しては、今はまだ言うことができないんです。 Dirk

CL:

もしあるとしたら、ドイツで、ということになるんでしょうか?

Dirk:

んん、SuSE はドイツの Linux 企業、 ええ、そして実際ヨーロッパで最大の、ということなんですが、 この質問に関しましては、ノーコメントということにさせてください。

CL:

コミュニティ株(Red Hat や VA が行ったようなオープンソース功労者への 株式譲渡)の提供についてはどうでしょう?

Dirk:

ええ、もちろんコミュニティ株の提供については考えるでしょうね、 ただ今の時点では、 詳細を推測するのはまだ早すぎる感じがします。

CL:

SuSE がヨーロッパでこんなに成功しているのは何故なのでしょうか?

Dirk:

ヨーロッパの市場というものと私たちの顧客の地域的な (ローカライゼーションの)ニーズというものをよく理解しているからだと思います。 私たちには、完全で、インストールや管理が簡単な OS があります。 そして製品の品質に焦点を当てており、 Linux の開発作業においてかなり重要な役割を演じているからでしょう。 (※ SuSE による数々の功績に関しましては、 ChangeLog のカーネル関連記事(日本語)でも度々紹介させていただきました。) Dirk

CL:

最近 Red Hat が DLD (ドイツのディストリビューション) を買収したことについて、コメントをいただけますか?

Dirk:

私は、他の企業のビジネス上の決定については、 意見を言わないことにしています。

CL:

SuSE では、フルタイムでオープンソースソフトウェアの開発 に従事していらっしゃるのだと思いますが、 実際には一日に何時間くらいコードを書いていらっしゃるのですか?

Dirk:

私は、もうフルタイムの「開発者」ではないんです。 今では、開発は 2〜3時間で、 ほとんどの時間はマネージメントに費やしています。 XFree86 をリリースしたり、他の人が書いたコードをレビューしたり… といったようなことです。 たくさんの人々がソースコードを寄与してくれるということはつまり、 その中からとても注意深く選ばなければならないということなんです。 どの人が高品質なコードを寄与してくれているのか、 あるいは、この人は多分初心者かな…などといったことを理解しようとしながらですね。 ですから時々、コードの管理やチームの管理で、 使える時間の大部分が埋まってしまうこともありますね。 Dirk 初期の XFree86 の頃は、私自身もかなりコーディングしていたんですけれど… 現在の XFree86 リリースの中には、 私が貢献した部分もたくさんあります。 ですが最近は、XFree86 に使える時間はほとんど、 送られてきたパッチを統合したり、コードのリリース…などに費やしています。 オープンソース開発のためには、誰かがこの役割を 果さなければいけないんです。 そして、 XFree86 の場合、その「誰か」が私であることがしばしばある、ということですね。

CL:

その状態に満足されていらっしゃいますか?

Dirk:

ええ。 プロジェクトを管理するというのも (コードを書くのと同様に)、とても刺激的でやりがいがあり、 興味深いことですからね。 (Dirk は、会社の経営も、同様に 刺激的で興味深いともおっしゃっていました。)

CL:

ところで、ご自分では、次の3つの中のどのあたりにいらっしゃるとお考えですか? (RMS のように)フリーソフトウェア運動、 (ESR のように)オープンソース運動、 (Linus のように ?)フリービール(運動?)?

Dirk:

えーと、「フリービール」は単なるジョークですからね… Dirk 私は断然、オープンソース運動に自分を位置付けていますね。

オープンソースのコードは、インターネット上に公開されることによって、 他の科学的な研究と同じように、世界中の開発者にレビューされます。 こうすることで、高品質なソフトウェアを作ることができるんです。 つまり、オープンソースを行うということは、 ピアレビューのポジティブな影響を受けることができるということです。 コードを見てくれて、 問題を指摘してくれて、 コードを改善してくれる人々がいることになるのです。 ですからオープンソースこそが、 OS 開発やインフラストラクチャの開発を行う ベストの方法だと私は強く考えています。

コンピュータを動かすために使うもの、 あるいはコンピュータ同士でやりとりさせるために利用するものはすべて、 オープンソースを活用することが最良の方法なのです。 一般の人々によるレビューに対しオープンにすることができるからです。 それにオープンソースでは、 問題が起こったときにユーザがそれを修正することができますし、 もちろん、コードを管理している人が自分で修正することもできますしね。

さらにオープンソースは、セキュリティ関連のコードの正しさを レビューすることができる唯一の方法だと思います。 OS やインフラストラクチャ環境中のコードのほとんどは、 何らかの形でセキュリティに関連しているのです。

CL:

おそらく OSI (Open Source Initiative) の設立以前からも そのような考え方をされていらっしゃたのでしょうね。 OSI の設立は比較的最近ですから。

Dirk:

ええ、私がオープンソース開発を始めた 1991年から、 このように感じていました。

CL:

それからあなたの場合、 目的が「ソフトウェアの品質」に焦点が当てられており、 FSF(Free Software Foundation)のように「自由」の問題ではないようですね。

Dirk:

RMS を含めて FSF は、素晴らしいソフトウェアを開発してきています。 私は、彼らのやり方は、たくさんあるやり方のうちの一つだと思います。 ですが私自身は、フリーソフトウェアについてそれほど、うーん、宗教的? という感じではありませんね。

CL:

XFree86 は、大規模なオープンソース開発の成功例になっていますね。

Dirk:

ええ、現在 XFree86 には 650 人の開発者が従事しています。 この人達は文字通り世界中にいて、様々なバックグランドを持っているんです。 私たちには、「X の優れた実装」という共通の目的がありますが、 それぞれの個人的な目的はかなり違うものでもあります。 例えば、私たちのチームの中には、プロの開発者もいます。 彼らは、この開発を行うために SuSE や VA Linux や他の Linux 関連の企業に雇われているんです。 その他の人たちは、自分の空いている時間に開発をしています。 どうしてかと言うと開発がとても楽しくてワクワクするからです。 それに、やりがいもあるんです。 Dirk 例えば、「ありがとう。私のグラフィックカードが動くようになりました。」 というメールをもらうと、とてもやりがいを感じます。 とても小さな報酬のように思われるでしょうが、 実際にはこういったことがまだまだ私たちの多くを動かす力になっているんです。

CL:

オープンソースソフトウェアと、プロプライエタリ(フリーでない)ソフトウェア の将来についての考えをお聞かせ願えますか? プロプライエタリなソフトウェアは将来も生き残っていくのでしょうか?

Dirk:

オープンソースは、コードのレビューにおいて特に素晴らしいと思います。 ですから例えば、セキュリティに関して言うと、 機密文書を送りたいときに、 自分が使うソフトウェアに 他の人が(不正に)裏口を作ったりして(日本語) いないかどうかを、 そのソフトウェアのベンダに相談したりするようなことなく、 自分で確認することができます。 でも、概して私は、 プロプライエタリなソフトウェアについて特に問題を感じてはいません。 ですから将来的には、 インフラストラクチャレベルのものや、セキュリティ関連のソフトウェアは ほとんどがオープンソースになるけれども、 よりアプリケーション寄りにのものには、 プロプライエタリなソフトウェアが使われているだろうと私は思います。 そして、そうなることについて特に問題を感じません。 CL:

最近あった Sun と Blackdown チームとの事件(日本語)について、 どう思われますか?

Dirk:

PR の失敗の大きな例だったと思います。 Sun に Blackdown チームのコードを盗もうという意図があったとは 私は思いません。マーケティング上の大きな問題だったということなのでしょう… Dirk Sun は、コミュニティの反応にとても驚いただろうと思います。 もちろん、チームを辞めてしまった Blackdown チームの開発者のことについては、 残念だと思います。

CL:

ハードウェアベンダの対応は 99年の一年間で大きく変化したようですが、 実際にはどのように感じていらっしゃいますか?

Dirk:

とても嬉しく思いますね。 2〜3年前は、彼らからハードウェアの仕様を教えてもらうのは 非常に大変なことでした… しかし今や、ビデオチップメーカが自分でその CD-ROM に Linux 用のドライバを入れてリリースするようになるんです! 今では、 フリーソフトウェア開発者だけがドライバを実装しようとしているだけでなく、 ハードウェアメーカが実際にドライバを書くようになるくらい、 Linux が重要になってきたということなんでしょうね。 ハードウェアベンダは、ハードウェアを売っているのです。 これは、トートロジーのように聞こえるかもしれませんが… 彼らはドライバをリリースするのに問題はないはずなのです。

CL:

なぜこのような変化が起ったと思われますか?

Dirk:

そうですね、今では Linux とオープンソースの市場があまりに大きくなってきたから、 このようなことが実現したのだと思います。

CL:

XFree86 が X.Org に参加したことで、変化したことはあるでしょうか?

Dirk Dirk:

XFree86 は、 しばらくの間、X Window システムの新しい開発の主な源となっていました。 1994 年に、私たちは X コンソーシアムに参加するために会社 (The XFree86 Project 社です。私はたまたまこの会社の副社長になりました。) を設立しました。 一時的に The Open Group を経て、 現在 X.Org が仕様の世話役になっています。 XFree86 が X.Org に参加したことによって、 X Window System をデスクトップのためのさらに使える ソリューションへと発展させるために彼らと協力できるようになったので、 とてもハッピーです。

CL:

アトランタ Linux ショーケースでの「ホットハウス」 の感想をお聞かせ下さい。

※ 「ホットハウス」は、 アトランタ Linux ショーケース(英語) において、 XFree86 の主要開発メンバーが一同に(世界中から物理的に実際に) 集まり、XFree86 の開発を行ったイベントです。 開発者の旅費は SuSE、ハードウェアは VA Linux、 場所は ALE (アトランタ Linux 熱狂者の会?) (英語)が「アトランタ Linux ショーケース」内で提供されました。 詳しくは こちら(英語) のレポートをご覧下さい。

Dirk:

ホットハウスは、大成功ですね! とっても楽しかったし、驚くべき成果も得ることができました。 私は以前、個人的(別々)に何人かの開発者と会ったことがありましたが、 問題は、一度に全員が集まるための旅費を、 すべてのプログラマが用意できるわけではないことでした。 そこで、SuSE がスポンサーになってくれました。 ホットハウスで私たちはコードや設計について面と向かって話し合うことができました。 そして実際この結果は素晴らしかったので、 3日間の予定が 4日間に延長されたほどです。 私たちは2000年に再び、実は一週間に延長したホットハウスを行う予定です。 その後もずっと続けていくつもりです。

CL:

SuSE もその成果に喜んでいるのでしょうね。

Dirk:

ええ、とても喜んでいますね。 SuSE は XFree86 以外にも多くのオープンソースプロジェクトを サポートしているんですよ。 それに実は私は、勤務時間内にもっと XFree86 の作業を行うようにと 推奨されているくらいなのです!

CL:

1999年の最も大きな(あるいは驚いた)出来事は何だったでしょうか?

Dirk:

XFree86 関連では、ホットハウスですね。 Linux 関連では、Linux 企業の IPO ラッシュです。 Red Hat、Cobalt Networks、 VA Linux …などの。

CL:

それでは、2000年の最も大きな出来事は何になると思われますか?

Dirk:

うーん、私はあまり良い占師ではありませんし… それに今日は水晶玉を家に置いてきてしまいましたし… :-) Dirk でも、XFree86 関連では、次の 4.0 リリースでしょうね。 Linux・オープンソース関連では、 来年何が最も大きな出来事になるかはちょっとわかりませんね… ですが 2000年もきっと成功し続けていくことは間違いないと思いますよ。

Dirk Hohndel & Jeremy Allison Interview

Jeremy Allison 氏インタビュー

Jeremy は、Samba (日本語)の 主要開発者の一人です。 Samba は、Linux 等を Windows のファイルサーバやプリントサーバとするための サーバソフトウェアです。 Jeremy は先日 SGI から VA へと転職をしたばかりでした。 そしてその直後、VA は株式の公開を果たし、 その役員の多くが巨万の富を手に入れ (日本語)ました。
※ VA の株式公開に関しましては、 「VA の株式公開で彼らはいくらを手にしたのか」(日本語)をご覧下さい。

インタビューを快く引き受けてくださった Jeremy に感謝します。 インタビューの間中、とてもフレンドリーに話してくださいました。

また、インタビューの実現に関して樋口貴章さんと、 コンファレンスの主催である JLA に感謝いたします。

CL:

最初の質問はもちろん、「リッチになりましたか?」です :-)

(※ Jeremy は先日 VA の株式公開直前に SGI から VA へと転職をしたばかりでした。)

Jeremy Jeremy:

(笑)書類上はね、うん、リッチだね。 (※ 規制により、株式公開を果たした会社の内部にいる株主は 株式公開で高値の付いた株も6ヶ月間は売り飛ばすことはできません。)

CL:

あ、まあ、今のところは書類上と言うことなんでしょうが、 でも、6ヶ月後には本当にリッチに…

Jeremy:

うーん、でもなかなかそういう風にもいかないんだよね。 以前にも、株式を公開したカリフォルニアの会社にいたことがあったんだけど、 ルーレット盤が回るのを見てるようなもんだね。 ボールが最終的にどこに止まって終るのかはまったく分からないよ。 ゼロかもしれないし、あるいは勝つかもしれない。 だから、そう、理論的には、書類上の僕はとてもリッチ。 だけど現実的には無視してるんだ。 だって、現実のことじゃないから。 本当の現実というわけじゃないんだ。

CL:

でも、どちらにしても VA の株をお持ちということなんですよね?

Jeremy:

まあね。

CL:

VA は、次は誰を獲得しようと狙っているんでしょうね?

Jeremy:

知らない。 僕も今、何人かを雇おうと働き掛けているんだけど、 彼らがサインしてくれるまではコメントできない。 でも、うん、VA は誰かを雇おうとしているよ! 僕らはできるだけ早いうちに、優秀な Linux 技術者を 吸い上げてしまうのさ!

CL:

SGI から VA に移った理由をお聞かせ願えませんでしょうか?

Jeremy:

実は、個人的な理由なんだ。 Jeremy シリコンバレーに家を買う必要があったんだ… SGI にいたら家を買うことができなかった、ただそれだけなんだ。 でも SGI のことは好きだよ。 彼らはとても優れた製品を作っていると思うし、 とてもたくさんの Linux 関連の成果も出していると思うよ。 VA ほどではないけれど、 昔からの Unix 企業としては、 SGI は実際、 Linux のためにとても多くの仕事をしているんだ。 彼らは、このことについて本来得られるべき十分な賞賛を得ていないと思うね。

僕は SGI がとても好きだよ。そこにいる人々も好きだし、 そこで働くのも楽しかった。 VA も同じくらい好きだ。 とっても楽しんでる。 VA は、ほとんどシリコンバレー LUG が そのまま会社になった、って感じなんだ。 シリコンバレー LUG にいた人ほとんど全員が VA にいるんだよ。 だから、そもそも僕は以前から SGI にも VA にも 所属しているようなものだったんだ。

CL:

あなたは VA のフルタイムの「開発者」なんでしょうか?

Jeremy:

そうだよ。 正式には、プロフェッショナル・サービス部に属していて、 Samba の開発をしているんだ。 実は VA は、とても大規模なプロフェッショナルサービスを行っている。 知っておいて欲しいのは、 これを実感できるって最高なんだけど、 今、Linux をサービスに加えて「うちも Linux やってますよ」って言いたい 多くの企業には、Windows NT のコードがあって、 彼らはそれを Linux に移植する必要があるんだ。 で、それっていうのは VA が特に得意とすることの一つなんだ。 つまり、そういう企業にアドバイスをすること。 基本的に、僕らが好んで「過去の遺産の Windows コード :-)」って呼んでいるものを、 近代的なプラットフォーム :-) に移植する方法についてのアドバイスさ。 こういう Windows から Linux への移行をしようとしている人っていうのが、 今、本当にたくさんいるんだ。 これって最高だね。 なぜって、5、6年前のことを思い出すと、 みんな今の逆向きに移植していたからね。 実際、僕も Unix のコードを Windows に移植する仕事で生計を立てていたんだ。 それで Samba に関わり始めたんだけどね。 っていうのは、Unix コードを Windows に移植するという僕の仕事を ずっと楽にしてくれるからね。 だから、こんな風に物事が逆向きに流れていくのを見るなんて最高だね。

CL:

実際には今、1日に何時間くらいコードを書いていらっしゃるのですか?

Jeremy:

うーん… 場合によるね。 最近は講演旅行に出ていることが多いから… 最近は SGI の「SGI Linux 大学」にもたくさん参加してたしね。

まったくコーディングしない日もあるし、 一日中メールを読んだり書いたりしてばかりいる日もあるね。 僕には 1日に 300通くらいのメールが来るんだ。 もう、メールに溺れてる、本当だよ。 うまくつき合っていくしかないんだろうけど。 どうしようもないからね。

ラッキーな日には、 どんなメールでも無視して、 ただ一日中コードを書く。 そういう日は、 「なんてステキな日だ!今日は最高の一日を過ごした!」って思える日なんだ :-)

たいていの日は、平均してだいたい コーディングが半分、後の半分は ただただ物事をマネージすることに使ってしまうかな。 つまり、Samba のリリースをマネージしたり、 他の人のパッチをマージしたり、 チームのメンバーと連絡を取り合ったり。 そういうことには、ものすごい時間がとられるんだ。Dirk が言ってるようにね。 Dirk は XFree86 をマネージするマネージャになりつつあるわけだけど、 同じことが僕にも起ろうとしていて、 本当にイヤ。 もう頭がおかしくなりそうだよ。 だって、僕はコードを書くのが好きなんだ。 これをやっているのもコードを書きたいからなんだ。 それがいちばん楽しいところだから。

昔は会社に行って一日中、8時間コードを書く、それを毎日する、 という仕事をしていたんだ。 でも、もうそんなことはできない。 今でも、少なくとも 1週間に 1日はそういう日を作ろうとしているんだけど、 とっても難しい。とってもね。 時間的なプレッシャーがただただすごくかかってる。 特に今は、オープンソースがマスコミや企業に発見されて、 「オープンソース全般についての、タメになる講演をしてくれないか」 っていってくる人たちがたくさんいるんだ。 正直言って、(頼まれた講演を全部引き受けていたら) 講演をしているだけで毎週毎週の予定を埋めてしまうことができると思うね。 それで何の作業も終らせることができないっていうことになったら、 とっても気が滅入るだろうなあ。

CL:

もしあなたが本当にイヤになってしまって 逃亡してしまったら、Samba はどうなるのでしょうね?

Jeremy Jeremy:

えーと、Andrew もまだ作業しているし、 Gerald や Luke や Volker だっているから… オープンソースプロジェクトは一個人の都合によって、 あるいは何人かの人の都合とかでもいいんだけど、 そういうもので続いたり無くなったりするものじゃないんだ。 誰にも代わりのできない人なんていないんだ。実は Linus でさえね! ある Linux エキスポでの Linus の講演(日本語) を覚えているんだけど、 そこで Linus は FAQ を紹介したんだ。そのうちの一つが、 「もし Linus がバスにひかれたら、Linux はどうなってしまうの?」 というものだったんだ。 これに対する Linus の答えは、 「僕はシリコンバレーに住んでいます。 シリコンバレーではバスは走っていません。みんな自分で車を運転するからです。 したがって僕がバスにひかれることはまずおこりそうにありません。 しかし仮にバスにひかれたとすると、僕は死ぬことになります。 そして、そうなってしまうと (Linux のことなど)もうどうなったっていいんです。 だって、どうしようもないでしょ?」 って言ってたんだ :-) でもこれってかなり真実が含まれてるんだよね。 大きなプロジェクトには、それ自体に命があるんだ。 それは一個人よりも大きい…そのプロジェクトを始めた人たちよりもね。 だから Samba が重要なんだったら、 僕がいなくなっても継続していくだろうね。

多くの人に「将来的に Samba がどうなってほしいの?」 って聞かれるんだけど、 これについては Andrew と僕はまったく同じ考えを持っているんだ。 僕らの答えは、「Samba がなくなってほしい」っていうことなんだ。 なぜなら、僕らは Linux が成功して、 みんながデスクトップに Linux を走らせるようになることを願っているんだ。 それで、みんながデスクトップに Linux を走らせるようになれば、 ファイルサーバに Samba は必要なくなるだろ? だって、もう誰も Windows のデスクトップを使わなくなるからさ! その暁には僕はもっと生産的で有用な市民に戻って、 楽しいと思うことをできるようになるね。 いや、もちろん Samba は楽しんでるよ、 だけど、他の楽しいこともできるようになるだろ。 だから… Samba の目標は Samba がなくなることなんだ :-)

CL:

普段はどの OS 上で作業をなさっているのですか?

Jeremy:

僕のデスクトップは、Linux だよ。 VA では、ほぼすべて Linux なんだ。 実はジョークになってるんだけど、 僕は、VA で唯一 Windows の使用を許可されている人なんだ :-) だって僕は Windows を使わないといけないだろ? Samba をテストしなきゃ!

でも Samba はとてもクロスプラットフォームなソフトだから、 実際僕はいろんな OS を使うことができるんだ。 Sun が Solaris マシンを寄付してくれたし、 HP が HP-UX マシンを、IBM は異なるバージョンの AIX を、 SGI はサーバだけじゃなく開発マシンを寄付してくれて、 ネットワーク代も支払ってくれてる。 Whistle も FreeBSD マシンをくれたし、 確か DEC も Digital Unix マシンを寄付してくれる準備中だったと思う。 だから僕は Linux 上で開発を行っているんだけど、 実際にはとてもいろんな Unix を使うことができるようになっているんだ。 なぜなら、Samba が自分たちのプラットフォームで動くことを確実にすることは、 これらすべてのベンダの利益になることだからね。

この話に関しては、びっくりすることがあったんだ… 僕は、Samba についての講演をするために、HP のコンファレンスにいたんだ。 そこで、HP-UX の開発をマネージしている人たちと座って話していた。 彼らは「君たちをどう手助けすることができるかい?」と言っていた。 そこには僕の他にも Linux な人がいて、彼が本質的にこういうことを言ったんだ。 「HP-UX を LSB (Linux Standard Base) に従うようにさせるのはどうでしょう? というのは、HP-UX システム上で走らせることをあなた方が望まれるような ソフトウェアの大半は、今では Linux 上で開発されているからです。 ですから、そのようなソフトウェアが HP-UX に移植されることをお望みなら、 そして HP-UX に将来も生き残るチャンスを与えたいとお考えなら、 HP-UX をできる限り Linux に似させるのが得策だと思いますよ。 そうすれば、ソフトウェアの移植がより簡単になるでしょうから。」 そしたら、彼らがその方向に傾いたんだ! 2、3年前には、どの Unix ベンダも 「うちの Unix が唯一本物の Unix です。 うちの Unix が将来勝ち残る Unix です。」 って言ってたんだぜ。 それが今では実際僕らは彼らに 「そうだな、 うちの Unix をもっと Linux に似させた方がいいかもしれないな。」 って言わしめているんだ。 本当にびっくりするね。 実際、HP は HP-UX をもっと Linux に似させて作ることを 真剣に検討することを明らかにしているんだ。 最高だね。

だけど実は、Samba のいくつかの部分には、 いろんなプラットフォームで開発した方が良いものもあるんだ。 例えば Samba の 64 ビットのテストは、ほとんど IRIX マシン上でだけ 行われている。Solaris や AIX マシンで行うこともあるけどね。 これは、IRIX がとてもクリーンな 64 ビットの実装をしているからだね。

CL:

Linux で開発を行うようになったのは、VA に移ってからなんでしょうか?

Jeremy Jeremy:

実は、そうなんだ。 Samba の開発は、主に IRIX 上で行っていたんだ。 Unix は、どれでもとてもよく似ているから、 どの Unix マシンに座っているかっていうのは、 あんまり関係ないんだ。 ポータブルなコードを書くっていうのが、いちばん大切なことだね。 僕らは 5年間、ポータブルなコードを書くという経験を Samba でしてきた。 だから、僕のデスクトップは、FreeBSD、Linux、Solaris、IRIX、 などどれでもいいんだ。どれか、というのはそんなに重要じゃないんだ。 僕らには、従うべき POSIX 標準というのがあって、実際それに従っているからね。 僕らはすべてをそれぞれのプラットフォーム上でテストするから、 必要なのはポータブルなコードだけなんだ。

コードの移植で問題を抱えている多くのベンダは、 基本的に、過去のだらしないコーディングの罰を受けているのさ。 一度勇気を持って敢然と立ち向かい、 「(プラットホームに依存したコードを書いてしまいたいという 誘惑を断切って、)いや、ポータブルなコードを書くぞ!」と言ってしまえば、 後は、本質的にほとんど既存のどの Unix 上で作業してもとても楽なんだよ。

CL:

ところで、VA 日本進出、ということについては何か聞かれたことはありますか?

Jeremy:

それについてはコメントできないんだ、ごめん。

CL:

あなたは次の 3つのうち、どの辺りに位置されるとご自分でお考えになりますか? (RMS のように)フリーソフトウェア運動、 (ESR のように)オープンソース運動、それとも (Linus のように :-)フリービール?

Jeremy Jeremy:

僕は個人的に Richard と理想を共にしているんだけど、 Eric のやり方が好きだね :-)

CL:

つまり、それぞれの良いところをピックアップということですか?

Jeremy:

そう。フリービールはいつでも歓迎だしね :-)   だけど、Richard がやろうとしていることは素晴らしいと思ってる。 とても尊敬しているよ。 僕は、Richard がハッピーだという世界になれば本当にいいと思う。 だけど、Richard が僕らにやってほしいと思っているやり方では、 その世界を実現させることはできないと思う。 Eric のやり方でいけば、その世界を実現させることができると思うんだ。

だから僕は、企業に対して話している場では、 「オープンソース」とか「信頼性」とか「コストパフォーマンス」とか、 スーツを着ている人たちが聞きたいような言葉をしゃべるんだ。 だけど実際に僕がやろうとしていることは、 Richard がやろうとしていること。 つまり、「ソフトウェアをフリーにする」ことなんだ。 だから… おそらく僕は Richard Stallman よりも Eric Raymond に近いんだろう。 だけどそれでも、僕はフリーソフトウェアの普及を見たいね。 だって僕はかれこれ 8、9年前からフリーソフトウェアに関わってきたんだ… いや、待てよ… もっと昔からかも… 多分今から 10〜11年前だな… 僕は、自分の最初のパッチを Richard Stallman に却下されたという 大変な栄誉の持ち主なんだ :-)

僕はフリーソフトウェア運動に長い間関わってきたんだけど、 場合によっては、つまりうまくやる必要がある場合には、 (フリーソフトウェア万歳と言いたいところを) グッと我慢して「オープンソース」って 言った方が良いんだということを十分に感じてきたんだ。 多くの企業が今、オープンソースのポジティブな面を発見しているわけだけど、 僕が本当に嬉しいのは、 そんな企業の多くがただ「ああ、オープンソースね。ソースを公開すればいいんだろ」 みたいなことを言っているだけではなく、 実際にフリーソフトウェア運動の考え方も取り入れているってことなんだ。 こんなこと、僕は絶対起らないと思ってた。 こう言えて、本当に嬉しいよ。 Netscape を考えてみてよ。SGI のやっていることを。 どれほど多くの人が取り組んでいることか。 Intel を考えてみてよ! 確か EEpro カードのドライバを GPL で公開したよね! あの Intel だよ! まったく信じられない! もし僕が 5年前に誰かに 「Intel が GPL でソフトウェアを公開するって想像できる?」って聞かれていたら、 「君、頭おかしいんじゃないの!」って答えていたよ! :-)  

重要な点は、GPL で何をしようとしているかということが 今では実際に理解されているっていうことなんだ。 これはもう驚くほど素晴らしいことだね。

Jeremy

CL:

Sun と Blackdown チーム間で最近あった問題(日本語)についての あなたの考えをお聞かせ願えますか?

Jeremy:

僕は、あれは単に Sun のマーケティングの人たちのミスだったと思う。 少なくとも故意にやったわけではなかっただろう。 ああいった類いのことは、いつも起っていることさ。

だけど一般的に言って、Sun のマーケティング組織は、 彼らのことを本当には理解していないね。 まあこれは経験を積んでいくしかないことだろうね。

Blackdown チームが全部の仕事をやったのだから、 彼らがかなりムッとくるのも理解できるよ。 僕だってムカついただろうと思う。 それでもやっぱり、本質的には、 SCSL (Sun Community Source License) の下で何かやるときは… うーん、だってそうだろ?君がそれにサインしたんだったら… 彼らはそういうことを君に対してできるわけだ… 僕は SCSL が好きじゃない。 だから今回 Blackdown チームに起ったことは、 不作法なライセンスになっている何かに取り掛かろうとすることを 考えている人たちには、良い教訓になったと思う。 あれはオープンソース的にあまりフレンドリーなライセンスだとは 思わないね。

CL:

オープンソースソフトウェアとプロプライエタリ(フリーでない)ソフトウェア の将来についてどう思われますか? プロプライエタリソフトウェアは、将来的に生き延びることができると お考えですか?

Jeremy:

イエス。 プロプライエタリなソフトウェアも生き延びると思う。 ただし、もっともっと狭い範囲でね。

これに関しては、Applix と話していたことがあるんだ。 Applix のエンジニアリングマネージャが僕にこう言ったんだ。 「私たちは Applixware をどうすればオープンソースにできるかを 考えてみたんです。ですが、どうすればいいのか、 方法を見つけることができませんでした。」

僕は Applixware をオープンソースにして欲しいと強く思っているよ。 修正できればかなり嬉しいバグが時たまあるからね。 だけどソースコードがないから修正できないんだ… 僕はケナそうというつもりじゃないよ。 僕は Applixware を僕のすべてのプレゼンテーションで使っているんだ。 Applixware が僕のオフィススィートなのさ。

だけど正直に言って、僕もそれについて真面目に考えてみて、 本質的にこう言ったんだ。 「あなたの言う通りです。 今あなたのソフトウェアをオープンソースにする理由はまったくありませんね。」 これは Sun が StarOffice をオープンソースにする前の話だからね。 「今あなたにはオープンソースな競争相手は特にいませんし、 お金も儲かっていて、順調にうまくやっている。 オープンソースにする理由はありませんね。」 一般的に人々は、そうしなしればならないプレッシャーがかかってきたときに、 ソフトウェアをオープンソースにするんだ。 だから将来的に、KDE のオフィススィートに人気が出てきて、 Gnome のオフィススィートにも人気が出てきて、 Sun が StarOffice をオープンソースにしたら、 その時には Applixware もオープンソースにする必要があるだろう。 でなきゃ彼らは潰れてしまうだろうね。 だけどそれまでは、オープンソースにする本当の見返りが 特にないんだ。

すごく奇妙で世に知られないようなソフトウェア、 世界中でユーザは 3人、しかもそれぞれが 1000万ドルもそれに支払ってもいい :-) っていうようなソフトウェアは、 いつになってもあると思うんだ。 そういう類いのものは生き残ると思うよ。 だけど、一般的なプロプライエタリソフトウェアには、 もっともっと大きなプレッシャーがかかるようになるだろうと思う。 なぜなら、いったんオープンソースソフトウェアが 一定のレベルの複雑さと性能に達してしまうと、 それは既存のプロプライエタリなソフトウェアを 食ってしまう傾向にあるから。 今僕らは、この証拠が Samba 周辺で起っているのを 目の当たりにしている。 あまり詳しくは話したくないけど、 要は彼らが僕らと競争するには、コストがかかりすぎるんだ。 僕らは一連の企業からタダで開発作業を得ることができるのに対し、 彼らはスタッフやマーケティング、その他すべてを自分達で 支払わなければならないんだからね。

Jeremy つまり、 いったんオープンソースソフトウェアがニッチを開拓し植民地化し始めてしまうと、 それは完全にそこを支配してしまうようになるんだ。 そして時間が経つにつれ、 オープンソースソフトウェアが住む生態学的なニッチは、広がっていく。 もうそこではオープンソースソフトウェア以外のものを使うことなんて 考えもしない 、というような場所をどんどん広げていくんだ。

僕に見える将来像はそういう感じだね。 僕がプロプライエタリなソフトウェアのベンダだったら、 今はとてもびくびくしていることだと思うよ。 例えば、Solaris も同じことをしなければならないんじゃないかと 僕は考えているんだ。 SGI は、IRIX のテクノロジーをあげてしまって Linux に注ぎ込むしか、 もう生きる道がないということに気付いている。 そういうプレッシャーは、まず OS のレベルで起るだろうね。 いちばん明白なところだから。 だけど、アプリケーションにも同じことが起るだろうね。 OpenGL のことを考えてみてよ。 ちょうどオープンソースソフトウェアに、植民地化されようとしているところだ。 つまりその時点で、主流の 3D グラフィックレンダリングはオープンソースになり、 そこからまたオープンソースが広がっていくのを 見ることになるだろう。

興味深い可能性の一つとしては、 そうだね、例えばゲームベンダ。 彼らはとても優れたプロプライエタリなゲームのプラットフォームを持っているよ、 だけど、本当に彼らが売っているものというのは、 経験であり、ストーリーであり、ゲームなんだ。 いったんオープンソースな 3D グラフィックスが一定のレベルに到達すると、 人々がお金を払っても良いと思うものは…つまり、映画のような感じ。 君が Quake か何かをしたいというときには、 グラフィックスのソフトウェアにお金を払っているわけじゃない。 君はストーリーやアートワークの力作ぶりといったものに お金を払っているんだ。 だから、そういう類いのものは生き残ると思うよ。 オープンなゲームエンジンプラットフォームができて、 人々は、ストーリーやキャラクター等を販売することにより お金を儲けることになるだろうね。 つまり、基本的に映画産業のようになるということだね。

CL:

O'Reilly の「Using Samba」について、 どう思われますか?

(※ 米オライリ社は、書籍「Using Samba」を オープンコンテンツライセンスの下にリリースし、 無料再配布を可能なものとしました。

Samba 開発チームは、この本を「公式」Samba ブックとして採用し、 常に最新の情報が含まれるよう更新していくとのことです。その内 容はオンラインになり、直接 SWAT からのアクセスも可能になる予 定だということです。

「Using Samba」は、Samba の管理の詳細なガイドで、Windows NT ドメインとの統合や SWAT グラフィカル設定ツールのような最 新の追加も含まれています。 )

Jeremy:

あれは素晴らしい本だよ! 多くの人が取り掛かってる。 「Using Samba」について、最も素晴らしいところは、 基本的に彼らがこの本のソースコードを与えてくれたということなんだ。 彼らは、まったく素晴らしい動きをしてくれたと思う。 彼らがそれをしてくれて僕は本当にハッピーなんだ。 というのも、本質的に彼らが僕らに与えてくれたものは、 僕らがソフトウェアを拡張していくにつれて 最新に保っておくことができる、とても高品質なドキュメント だからなんだ。

SGI にいた時に僕が認識したことの一つに、 SGI が商用の Samba 製品を作るつもりなら、 ソフトウェアがドキュメントよりも進んでしまうという問題を どうにかしなければならないということがあったんだ。 だから僕はドキュメントを書き直すのに 3ヵ月を費やした。 これは本当につらく悲しいみじめな作業だったよ… だって僕は本当はコードを書いたり他のことをしたかったんだから…

僕らはまた、ソフトウェアと一緒に最新の状態に保っておく文書として O'Reilly 本を利用することができるということは、 限りなく大きな違いを生み出すだろうと思ってるんだ。 なぜなら、基本的に僕らは、 完全な出版物レベルの品質の本をソフトウェアとともに出荷できることになるから。 それらが全部タダで入手可能になるわけだからね。 まあ、大半の人はそれでも O'Reilly の本を買いに出かけるんだろうけど、 だって本はやっぱり便利だから。お風呂でも読めるし… 僕は買いに行くだろうなあ… 僕はいつも大量の本を買ってしまうんだ。 オンラインよりもやっぱりずっと快適だからね。

だけど、それでも実際には、このことによって違いがでるだろうね。 例えば、君がバングラディッシュで Samba のクラスを教えたいとするだろ。 実際に君の生徒にこの本のコピーを与えることができるというのは、 首尾よく教え、彼らの知識を増やしてあげるためには、 欠くことのできないことだろ。 これからは、彼らがクラスで勉強をするのに、 出版物レベルの品質の本を利用することができることになる。 だから僕はとても嬉しいんだ。

僕がオープンソースを推し進めている理由の一つに、 第三世界の国々がオープンソースソフトウェアを利用することができるということ があるんだ。 そうすることにより、彼らが米国の大企業に依存する必要がなくなるからね。 彼らはそれを合法的に行うことができ、 彼ら自身で管理することができるローカライズされたソフトウェアを 手にすることができるんだ。 そして、本当に質の良いドキュメントがあるということは、 その目標のためには必須の事柄なのさ。

CL:

1999年の一年には、多くの FUD がありましたね。 今それらを振り返ってみても、 やはり「誰も信用するな ("Trust no one")」ってことなんでしょうか?

Jeremy:

Mindcraft (日本語) は実際、その評判を修復するのに死にもの狂いになっていたんだ。 彼らの最初のレポートは、本当に始末に負えないものだったよ、実際にね。 今でもそう思うね… 僕は電話で Bruce Weiner と話したんだ。 Mindcraft の調査をやった人さ。僕は彼とたくさんのことを話した。 それで… Mindcraft のことをよく考えてみるとね、 彼らが売るために持っているものっていうのは「評判」しかないんだ。 そしてその評判が猛烈にたたかれたんだね。 ああいう明らかに片側に偏った調査報告を出したから。 だから彼らは信用を取り戻そうとして躍起になっていた。 彼らの売り物はそれだけだから。

Jeremy Mindcraft について僕はかなり前から知っていた。 それで実は彼らがあれをやった時、僕は喜んでいたのさ。 なぜなら、以前の Mindcraft のレポートは、例えば Windows NT が Solaris よりも優れたウェブサーバであることを示していたり、 Windows NT が Novell NetWare よりも優れたファイルサーバであることを 示していたんだ。 それら一連の事柄は、本当にウソばかりで、 彼らは文字通り Microsoft がスポンサーのプロパガンダに 「独立調査」という名前を与えたものだけだったんだ。 彼らは、Sun や Novell に対する一連のやっつけ仕事の中傷記事を行っていた… だから、彼らがそれと同じことを Linux と Samba と Apache に対して行ったとき、 僕は 「ああ、良かった。少なくとも僕らはなかなかの優良企業ってわけだ :-)」 と思ったんだ。

だけど、その一方で、 彼らは実際、いくつかの問題点を指摘してくれた。 これについては僕は彼らにかなり感謝しているんだ。

まあこういうこと全部、つまりベンチマークって、 特に Windows のファイルサーバ関連のものは特に、 本当にひどいね。 Windows のファイルサーバ関連でも、新しい優れたベンチマークは あるんだけどね。

白状するよ。実は、SGI にいて IRIX 用の Samba をリリースしたとき、 僕もこのベンチマーク・ゲームをやったことがあるんだ。 Microsoft が過去にやった方法とちょうど同じやり方でね。 Jeremy そう、ゲームなんだ。 僕もそのゲームをやったことがあるんだ。 そう、だから例えば、 サーバ・クライアント間にあるケーブルの物理的な速度よりも速い ファイルサーバだというベンチマーク結果が出てしまうこと だってあるんだ。分かるだろ? 何の意味もないんだ。

Mindcraft が 2つめの報告を出したとき、 (CPU も NIC も複数のハイエンドマシンで 単調なファイルサーブを行うという彼らが提示したテスト環境では) 僕には Linux と Samba が負けるって、わかってたんだ。 1つめの報告の後、同じベンチマークを SGI の研究所で行っていたからね。 どのような数値が出てくるか僕らには分かっていたんだ。 そして、僕らが負けるだろうということもね。 だから、ゲームには参加しないことにしたんだ。 2つめのベンチマークへの参加を拒否したのは、これが理由なのさ。 だって、そうだろ、こういうゲームは、 勝てると分かっているときにだけやるものなんだ。

うん、もう完全に正直になってしまうことにするよ。 僕の気持ち的に Mindcraft のものよりもずっとずっと良いベンチマークは、 米国の紙の雑誌の Smart Reseller 誌で行われたものなんだ。 Smart Reseller に Steven von Nicholus という人がいて、 僕が彼のことを気に入ったのは、 彼も同じようなベンチマークをやったんだけど、 そのやり方が Mindcraft とはまったく違っていたからなんだ。 Mindcraft は、そのベンチマークを Redmond (MS 本社)で行った。 そしてその場には Microsoft のエンジニアがいたんだ。 だって彼らの地元だからね。 彼らはベンチマークに参加して NT サーバをチューニングしたのさ。 確かに、2つめのベンチマークで彼らは僕らに 「どうぞあなた方も参加してそちらの Linux サーバをチューニングして下さい」 って言ったけど、 その時点で(彼らが用意した土俵では) 僕らが負けることが分かっていたから参加したくなかった。

だけど、Steven von Nicholus が行ったことっていうのは、 つまり彼はチューニングに関するアドバイスを 誰からも受けなかったということなんだ。 彼は、こう言ったんだ。 「OK、現実の世界では、Samba チームのメンバーが飛行機であなたのところに 来てくれてサーバをチューニングしてくれることなんてないし、 Microsoft のエンジニアがサーバをチューニングしてくれることだってない。 実世界では、例えば Dell かどこかからマシンを買ってきて、 ソフトウェアを入れて、ただ走らせるだけだ。 だから、ただ PC を使って、 NT を入れてテストを走らせ、Samba と Linux を入れてテストを走らせる、 ということだけをやるとどんな性能が得られるのかを見てみよう。」 そしてそれをやると、つまり何もチューニングなどしない場合には、 Linux + Samba は NT よりも 2倍も性能が良かったんだ。

Jeremy うん、確かに、ハイエンド関連で修正が必要な事柄もあるよ。 だけど実は性能のボトルネックは Samba にあるんじゃないんだ。 どうしてこれを知っているのかっていうと、 実は僕は PC Week で行ったベンチマークを手伝うように Sun から 頼まれたからなんだ。 PC Week は、x86 上で走る Windows NT、Netware、Linux、Solaris についての ベンチマークを行った。 ところで Sun には、PC NetLink という製品があって、 これは本質的に Samba と同じことをするものなんだけど、 彼らはその製品を使いたがらなかった。 彼らはその代わりに Samba を使用するように頼んだんだ。 この点にはちょっと注目だよね… とにかくそれで僕は彼らのために Samba を設定しに行った。 僕らは、そのテスト環境ではあまり良い結果を得られなかったんだけど、 Solaris 上でディスクサブシステムを経由しないようにすると、 Solaris + Samba で同じハードウェア上の NT よりも良い結果を出すことを発見したんだ。 実際、Solaris を走らせる Intel x86 のハードウェア上で、 全く同じハードウェア上の NT よりも優れたファイルサーバとしての値を 得たんだ。 けれども、Solaris のディスクサブシステムに実際にデータを保存すると、 即座にその値は半減してしまうんだ。 この理由は、Solaris のディスクサブシステムが極めて遅いからなんだ。 でも確かこの問題は Solaris 8 で修正されたんじゃないかな。 だから、 x86 上の Solaris でもう一度ベンチマークをやってみたいと思ってるんだ。

Linux 上では、問題はまた別のことだったんだ。 問題は、TCP スタックなんだ。 Solaris は、素晴らしくマルチスレッドな TCP スタックを持っているから、 一度に複数のパケットがスタックを通過することができる。 Linux 2.2 の TCP スタックは、 基本的に大きなグローバルロックを持っていて、 つまりどういうことかというと、 スループットがスタックを通過できないんだ。 これは、Solaris 上では、というか実は NT 上でも可能なことなんだけど…。 だからこのことは今、Linux 2.4 に向けて激しく作業が行われていることの 一つとなっているんだ。 実は、Linux のカーネルハッカー達は、 たくさんのとても興味深いプランを実際に持っているんだ。 それらはおそらく Linux 2.6 になるまでは開花しないだろうけどね。 だけど僕は Linux 2.4 で NT とのギャップを埋め、 Linux 2.6 では打ち負かせると読んでいるんだ。 だけど、これは本当に Samba の問題じゃなくて、 Linux カーネルの TCP スタックの問題なんだ。

そういうふうに、これらのベンチマークはとても興味深いものではあったけれど、 でも実際には何を証明するものでもない。 忘れないで、 これらは(その提案者が有利なように) 非常に注意深く作り込まれた ("crafted") ハードウェアプラットフォームで行われているんだ。 だから、やっぱり僕は「誰も信用するな」って言っておくね、 特に僕なんかを信用したらダメだよ :-) なぜって、もし僕が何かベンチマークをしようとしているのなら… 僕がベンチマークをやらせていただきたいと感じる唯一の状態っていうのは、 僕が勝つって分かっているときだからさ。 だからもし僕がベンチマークをしようとしているときには、 どんな結果が出るのか、君には分かるだろう。 なぜって、 もし勝てないのなら、僕はベンチマークなんてやらないからさ。 そうだろ、これはコマーシャルベンダになれば学ぶことの一つなんだけど、 勝てないときにも勝つ唯一の方法は、ゲームに参加しないことさ。

だから、そうだね、やっぱり僕はあの記事の通りだと思うよ。 僕はこの分野でかなりの作業をしてきたんだけど、 こういったベンチマークにはたくさんの問題があるのさ…

CL:

1999年にあった Samba 関連の最も大きな(あるいは驚いた)出来事は 何だったでしょうか?

Jeremy:

PDC サポートができなかったのが、残念だった。 僕は本当にそれを 99年中にやりたかったんだけど、まだできていないんだ。

でも、Veritas 社が Samba を採用したことには驚いたね。 Veritas 社は基本的にこういうことを言ったんだ。 「ええ、私たちはあなた方の競争相手のすべてを評価しました。 そしてその上で、私たちの顧客は Solaris 上の正式な 製品として Samba を私たちが正式にサポートすることを望んでいるのです。」 これはおそらく最もポジティブで嬉しいニュースだったね。 PDC サポートができなかったというのが最もネガティブなニュースだ。 これにはたくさんの理由があるんだけどね。 いちばん大きな理由は、僕らがコードに費やさなければならない 時間と努力だね。

僕は、Dell のことについてもかなり喜んでいるんだ。 というのも、Dell は今や Samba ベンダなんだよ。 彼ら自身はおそらくそのことに気付いていないのかもしれないけど、 彼らは今や Smaba ベンダなんだ。 Dell は、基本的には改訂した Cobalt Cube である製品を発表したんだ。 本質的に、その製品は Cobalt のソフトウェアを使用していて、 Cobalt のソフトウェアは Samba に依存しているから、 Dell は Samba ベンダになったということなんだ。 実際、今では Samba ベンダであるというトップメーカはたくさんあるんだよ。 IBM もそうだね。 だから実は僕らはトップレベルの Unix ベンダを植民地化してるんだ…! :-)

CL:

それでは、Linux ・オープンソース全体では、1999年の最も大きかった (あるいは驚いた)出来事は何だったと思われますか?

Jeremy:

Mindcraft のベンチマークが、最もがっかりしたことだったね。 Jeremy それがおそらくいちばんネガティブなことだろう。 だけど、ある意味でポジティブなことでもあったね。 僕らが Microsoft 社の重大な競争相手であるということを示したからね。 Microsoft が Linux との競争を有利にするためには、 大金をはたいたって全然構わないと思うくらいにね。 これ自体、とても大きなニュースだね。

だけど、もっともポジティブなことに、 信じられないくらいの雪だるま式にすべての人々が Linux をサポート したことを挙げないとね! なぜこれが起ったのかは僕には分からないけど、 だけど 1999年に僕らが目の当たりにしたのは、 Linux が「カズム (chasm)」を実際に渡って (Geoffrey Moore 著 "Crossing the Chasm" 参照。 続篇は「トルネード経営」千本氏訳、東洋経済社) マス・マーケット製品になったということだと思う。

こうなるだろうとは思っていたけど、 こんなに早く起こるなんて思っていなかった!

「Linux の将来」っていう題のパネルを、 Linus、それに Red Hat や Intel の人たちとやったことがあるんだ。 シリコンバレーで。大きなプレゼンテーションだったよ。 その時、僕は Linux はビッグになるぞって思ったね。 2000人くらいの人がそこに来ていたからね。 だけど、Oracle が Linux をサポートすると発表したのは、 そのほんの 2〜3週間後だったんだ。 そして Sybase や他の一連のデータベースベンダが続いた。 それが確か 98年の終り頃。 その後、物事はただただ雪だるま式に大きくなり、 しかも増加の一方だ。 僕は、それを日々僕の inbox に入るメールの数の伸びによって 測ることができるよ。 僕に送られてくるメールの数をグラフに書いたら、 どんどん増えて、増える一方で、しかも今までにない伸びだ! もう僕の手には負えないぞ! だけど、信じられないくらいエキサイティングだよ。

僕には、ビッグになるって分かってたんだ。 アトランタ Linux ショーケースでのことだった。 僕らはホテルにいて、僕は LinuxCare や Linux.com の人たちと 車に同乗しようとしていて、みんなでしゃべってたんだ。 その時、ホテルの荷物係のボーイのうちの一人が僕らの方にやって来て、 こう言ったんだ。 「あの Linux コンファレンスに参加されているんですか?」 そこで僕は「そうだよ。」って答えた。 すると彼はこう言うんだ。 「僕、家のマシンに Linux をインストールしてみようかと思ってるんです。」 彼は大学に通う若い学生で、(アルバイトで)ホテルのボーイの制服を着てた。 その時点で、僕は僕らがマス・マーケットになるって確信したんだ! 信じられない経験だったね。ホテルのボーイが Linux を使ってる! Jeremy 僕らは勝つぜ! 素晴らしい気持ちだね。

CL:

それでは、Samba と Linux/オープンソースそれぞれについて、 2000年の最も大きな出来事はどんなことになると思われますか?

Jeremy:

Samba が、アプライアンス(電気機器)メーカのプラットフォームとして 選ばれて採用されると思う。 つまり僕が予測しているのは、 たくさんの会社が、基本的に Cobalt と競合するような製品、 オールインワンのファイルサーバみたいなものを出すということなんだ。 そして、そのうちの 90%の人々が、Samba を採用するだろうと思うね。 だから、Samba は本質的に、 そういったファイルサーバ機器ソフトウェアのニッチを 植民地化してしまうだろうね。 それが、Samba 周辺で起るだろうと僕が思う最もポジティブなことかな。

Linux については、僕は本当に楽しみにしていることがあるんだ… うん、これはプロプライエタリなソフトウェアだということを 承知の上でなんだ。本当は楽しみにすべきじゃないんだろうけど :-) でも僕は Corel のオフィススィートが Linux 上で使えるようになるのを とても楽しみにしているんだ。 なぜなら、その時点で、 Corel Office, StarOffice, Applixware, K-Office … (Gnome は少し先になるんだろうね) が使えるようになるわけだろ。 それらのすべては本当に完全装備で頑強なオフィススィートで、 Microsoft Office のファイルフォーマットの読み書きだってできるんだ。 だから僕は、 かなり大きな企業が、 Windows デスクトップをはぎ取り、 同じ機能を行わせるために Linux デスクトップに入れ替えるようになるだろうと思うよ。 2000年は、Linux がデスクトップを植民地化するのを 見始める年になるだろうと思うんだ。

わかんないよ? 司法省が Microsoft を突っつけば、 Linux 上の Microsoft Office だって見ることができるかもしれない。 ありうるね。 なぜって、もし Microsoft Office が 独立したビジネスユニットになって、 Microsoft の OS から切り放されたら? きっと、その部門の責任者は、 「直ちに Linux ポートを作れ。金を儲けるために!」 って言うに違いないね。 だから、2000年は Linux デスクトップの年になるね。 あるいは、少なくとも、つまりもしデスクトップを乗っ取ることはなくても、 デスクトップで、ますます増えるプレゼンスを目の当たりにすることになるだろうね。

僕はシリコンバレーの近所のコンピュータストアに言ってさ、 パッケージになってる Linux のゲームを買うのをとても楽しみにしてるんだ。 どんな気持ちがするだろう… Linux 版 Quake III のパッケージを手に取るってさ… 僕はそんなにゲームをする時間はないんだけど、 でもただ、ゲームするためだけに Windows にブートし直さないでいいんだって、 知っておきたいんだ。 デスクトップを乗っ取る時に重要なポイントとなるだろうね。 そしてそれは 2000年に実現すると僕は思うんだ。 そう願ってるのさ。

Dirk Hohndel & Jeremy Allison Interview

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